研究領域 | 重力波物理学・天文学:創世記 |
研究課題/領域番号 |
20H04737
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
前田 啓一 京都大学, 理学研究科, 准教授 (00503880)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 超新星 / 光赤外天文学 / 重力波天体 / せいめい望遠鏡 |
研究実績の概要 |
本課題では超新星の観測および理論的研究を遂行した。特に、近接連星中性子星の形成過程に関係する超新星の性質を特定することを目的とした。中でも、連星中性子星の直接的な前駆天体であると考えられる「Ultra-Stripped Supernovae(USSNe)」(近接連星系における比較的低質量の酸素星あるいはヘリウム星の爆発)に注目した課題である。 せいめい望遠鏡やかなた望遠鏡による観測、国際的なネットワークによる観測を実施し、近傍超新星の、初期スペクトルを含む多数の分光・撮像データを取得した。課題初年度であり、観測的研究は(予定通り)観測の遂行および観測データ解析を主に行った。連星系中での(薄い水素層を持った)ヘリウム星の爆発であるIIb型超新星SN2016gkgについて、すばる望遠鏡などの観測データから中心部に高密度のコアが存在することを示した(Kuncarayakti et al. 2020)。超新星一般の爆発機構に示唆を与えるものであるが、USSNeの研究においても重要な結果である。 理論的研究においては、初年度(2020年度)から様々な成果を発表した。USSNeの特徴として、強い電波放射が伴う可能性を指摘した(Matsuoka & Maeda 2020)。USSN進化においても不可欠な要素である「共通外層」進化について、直接的三次元計算を行った(Iaconi et al. 2020)。超新星爆発の際に形成される中心天体の活動性が大きい場合を想定した、二次元の輻射流体計算を行った(Suzuki & Maeda 2020)。USSNにおいても中心に活動性の高い中性子星が形成される可能性があり、USSNにも適用可能なモデル計算である。このほかにも、超新星や突発天体に関し、多数の成果を査読論文誌に発表した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
多数の理論研究の成果を発表した。観測研究においても順調に観測データが得られており、順調に進展していると言える。
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今後の研究の推進方策 |
2020年度終了時点において、研究計画の変更の必要は生じていない。当初の予定通り、おおむね順調に進展している。 2021年度は二年度目(最終年度)ということもあり、取得した観測データの科学解析および観測データの理論モデル計算を中心に課題を遂行することを目的としている。
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