研究実績の概要 |
2021年度の研究成果は次の通りである。 ・Schwarzschildブラックホールへ摂動的に物質場の影響を取り入れた場合の質量や角運動量の変化について調べ、修正重力の場合にも適用可能な一般的なフォーマリズムを構成し、応用としてBlandford-Znajek機構のバックリアクションについて議論した[Prog.Theor.Exp.Phys.2021,093E03]。 ・重力波観測から重力理論への制限を付ける際にブラックホールの準固有振動が重要であるが、これについての最近の進展に関するレビューを行った[Universe 2021, 7(12), 476]。 ・極限ブラックホール近傍における波動現象を理解するために、球対称極限ブラックホールまわりのAretakis不安定性について、幾何学的な考察および、不安定性と関連したAretakis定数の性質について議論した[Phys.Rev.D.105.064062,2022]。 ・近年、ブラックホールの影が観測され、このような観点からもブラックホール近傍における重力理論の検証が可能となってきているが、本研究では、ブラックホールの質量が時間変化している場合について、解析的、数値的な両方の観点から議論し、観測量としてのブラックホールの影の時間発展について議論を行った[arXiv:2202.00201]。 ・修正重力理論の一種である縮退高次スカラーテンソル理論(DHOST理論)の球対称摂動を議論した。特に、摂動方程式をどのように解くべきかについて物理的な観点から提案を行い、その時間発展を数値計算の手法で議論することで、摂動的な安定性を示した[arXiv:2204.05054]。
|