コンパクト連星合体からの重力波検出によって重力波天文学が幕を開けたことを受け、次のターゲットとなる重力崩壊型超新星爆発からの重力波放射を数値シミュレーションによって調べた。超新星起源の重力波はコンパクト連星合体の場合と比較して弱く検出は困難であるが、天の川銀河系内のイベントであれば観測可能であると考えられる。本研究では幅広い親星モデルに対して空間3次元での重力崩壊計算を実行し、現実的な超新星モデルに基づく重力波テンプレートの作成を目指した。 最初の段階として、最もよく観測されたSN1987Aの最新の連星親星モデルに対して重力崩壊計算を実行し、得られた流体運動データをもとに重力波シグナルの算出と検出解析をおこなった。重力波形が衝撃波発生直後の即時対流や、それに続く非線形運動と衝撃波の非対称な膨張に対応することを確認し、さらに周波数分解してfモードやgモードに対応する特徴があることを発見した。重力波スペクトルと検出器の感度曲線との比較から、銀河中心に相当する10キロパーセク程度の距離であれば、100-200Hz程度の低周波領域に現れる、原始中性子星内部の対流に起因すると思われる運動と関連した重力波も検出可能であることを示した。 次に、主系列星当時の質量が太陽の9倍から25倍である単独親星モデルに対して同様の重力崩壊計算と重力波解析を実行した。得られた重力波信号を比較し、親星構造の違いによって爆発時に放出する重力波に大きな違いが現れることを発見した。特に、重い星では激しい質量降着によって強い重力波放出が見られる傾向にあった。親星依存性のさらなる詳細な解析によって、超新星重力波の検出から超新星爆発の物理に迫ることができると期待している。
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