研究実績の概要 |
2020年9月にNANOGrav12.5yrグループにより、電波によるパルサータイミングの観測による変調について、ナノヘルツ帯での重力波背景放射のシグナルの可能性があるとするデータが発表された。K. Kohri and T. Terada,Phys.Lett.B 813 (2021) 136040において、それが初期宇宙のインフレーションが作った小スケールの大きな曲率ゆらぎの非線形効果でつくられた背景重力波であるとするアイディアを発表した。そうしたゆらぎは同時に太陽質量程度の質量の原始ブラックホールを作る。そうした原始ブラックホールが衝突する際にもヘルツ帯の背景重力波を生成し、将来のLIGO-Virgo-IndiGO-KAGRAの重力波実験でこれを検証できることを示した。
Chul-Moon Yoo, TomohiroHarada, Shin'ichi Hirano, Kazunori Kohri, PTEP 2021 (2021) 1, 013E02では、ピーク統計を用い、曲率ゆらぎが任意のスペクトルを持つ場合に 作られる原始ブラックホールの量の推定について議論を一般化した。また、TomohiroHarada, Chul-Moon Yoo, Kazunori Kohri, Yasutaka Koga, Takeru Monobe,Astrophys.J. 908 (2021) 2, 140において、宇宙初期の放射優勢宇宙に、曲率ゆらぎから生成された原始ブラックホールのスピンについて、ピーク統計を用いて詳細に議論した。
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