研究領域 | 重力波物理学・天文学:創世記 |
研究課題/領域番号 |
20H04754
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
鈴木 大介 大阪大学, 理学研究科, 助教 (60807717)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 光赤外線天文学 / 重力波 / ブラックホール / 中性子星 |
研究実績の概要 |
本研究では、ニュージーランドのB&C望遠鏡、MOA-II望遠鏡の観測・解析システムのさらなる改良に加え、南アフリカ共和国・サザーランド観測所にて建設中のPRIME望遠鏡による重力波観測の体制を整える。日本の天文コミュニティのアクセスが難しい南天で発生する重力波イベントを異なる経度から広くカバーし、可視光から近赤外線の波長帯において多波長観測を実施する。 COVID-19の影響によりPRIME望遠鏡建設は当初の予定より大幅に遅れたが、22年7月に望遠鏡建設を開始し、試験カメラでの光学調整を実施し、望遠鏡建設を22年8月に完了させた。PRIME望遠鏡の光学調整方法について論文にまとめ投稿し、査読中である。 また、22年10月には、NASAで製作された赤外線カメラPRIME-Camのインストールを実施し、PRIME-Camでの光学調整を行った。しかし、PRIME-Camのソフトウェア問題により、光学調整は計画したようには実施できず、予定よりも大きな収差パターンが残ってしまった。これは23年6月に予定しているメンテナンス作業にて、改善される予定である。 画像解析パイプラインについては基本的なものは整ったが、画像収差補正に関しては課題が残っている。上記の光学調整問題とも関連があり、今後のメンテナンス以降の改善が見込まれる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
PRIME望遠鏡の進捗状況は、COVID-19の影響により当初の予定よりも大幅に遅れているが、重力波観測キャンペーンO4も同様に遅れている。23年5月のO4開始までには、PRIME望遠鏡による観測体制は整う予定である。ニュージーランドのB&C望遠鏡の光学系は、現地天文台の都合により変更があり、従来のカメラが使えなくなった。しかし、同天文台のMOA-II望遠鏡は引き続き運用中であり、南天における可視光-近赤外線による重力波イベント電磁波対応天体の観測体制は整いつつある。
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今後の研究の推進方策 |
PRIME望遠鏡の光学系に課題が残っているが、これは23年6月のメンテナンス及び光学調整作業によって改善される予定である。重力波観測キャンペーンO4は、23年5月から1年半を予定しており、23年7月以降はPRIME望遠鏡のハードウェアに関する諸問題が解決された状態で、観測に臨むことができる。ソフトウェアの課題は随時改善していく予定である。またニュージーランド・マウントジョン天文台のB&C望遠鏡では、光学系の変更があったため、それにあった近赤外線、可視光同時観測カメラの製作を検討中である。同天文台において、近赤外線による天文観測がまだ行われていないため、PRIMEで用いた近赤外線の試験カメラを使い23年内に試験観測を実施する予定である。
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