公募研究
研究代表者は、グラム陰性菌外膜成分リポ多糖とその活性中心リピドAについて、構造と免疫調節作用の相関を解明してきた。近年は、細菌-宿主間ケミカルエコロジー研究の観点から、生体内環境に生息する細菌について、リピドAの機能解析とアジュバントへの応用について研究を進めてきた。共生菌リピドAならば低毒性ながら共生関係構築の鍵となる恒常性維持機能を有すると考え、腸管における細菌-宿主間化学コミュニケーションの解析と低毒性アジュバントの創出を目的として、腸管免疫調節を担うパイエル板の共生菌Alcaligenes faecalisに着目し、リポ多糖の精製と構造決定、さらにはリピドA群の系統的合成と機能評価を実施し、活性中心構造を同定するとともに、A. faecalisリピドAが有望な粘膜ワクチンアジュバントであることを見いだしてきた。本年度は、リポ多糖部分構造であるKdo-リピドAの合成を達成し、Kdoの付加によりリピドAの活性が減弱することを明らかにした。さらには、A. faecalisリピドAのアシル鎖側鎖に存在する特徴的なヒドロキシ基に着目した構造活性相関研究を展開し、10種のリピドAから成るライブラリの合成を達成し、着目したヒドロキシ基がTLR4の活性化制御に影響することを細胞実験により明らかにするとともに、マウスを用いたin vivo試験により、IgA産生増強作用にも影響することを明らかにした。本研究で見いだしたA. faecalisリピドAは、有望なワクチンアジュバント候補として、2021年より研究用試薬として市販も開始された。
令和3年度が最終年度であるため、記入しない。
すべて 2022 2021 その他
すべて 国際共同研究 (4件) 雑誌論文 (8件) (うち国際共著 2件、 査読あり 8件、 オープンアクセス 8件) 学会発表 (26件) (うち国際学会 8件、 招待講演 2件) 図書 (3件) 備考 (1件) 産業財産権 (3件)
Organic Letters
巻: 24 ページ: 6~10
10.1021/acs.orglett.1c03233
Molecules
巻: 26 ページ: 6294~6294
10.3390/molecules26206294
Communications Biology
巻: 4 ページ: 1379
10.1038/s42003-021-02902-8
Frontiers in Pharmacology
巻: 12 ページ: 763657
10.3389/fphar.2021.763657
Journal of Nanobiotechnology
巻: 19 ページ: 223
10.1186/s12951-021-00963-9
Frontiers in Immunology
巻: 12 ページ: 699349
10.3389/fimmu.2021.699349
Angewandte Chemie International Edition
巻: 60 ページ: 10023~10031
10.1002/anie.202012374
Cancer Science
巻: 112 ページ: 1132~1140
10.1111/cas.14761
http://www.chem.sci.osaka-u.ac.jp/lab/fukase/