公募研究
昨年度までに最適化を終えていた可視光駆動によるホウ素触媒カルボン酸α位アリル化反応について、取りまとめを行った。カルボン酸の基質適用範囲を詳細に検討したところ、4級炭素構築型の反応と、3級炭素構築型の反応で最適配位子が異なった。置換基の電子的な要因は収率に大きな影響を与えなかったが、カルボン酸α位にアリール基が置換した基質のみで反応が進行することが明らかとなった。さらに、分子内の適切な位置に二重結合を有するカルボン酸を用いると、5-exo環化が進行したのちにアリル基が導入された生成物が得られた。これは、カルボン酸α位にラジカルが生成したことを支持する結果であると同時に、ドミノ型反応への展開が可能であることを示すものである。続いて、最適反応条件にケテンシリルアセタールを共存させる競合実験を実施したところ、ケテンシリルアセタール由来のアリル化体も得られ、フリーなアリルラジカルが反応に関与していることが強く示唆された。さらに、対照実験や蛍光測定などの結果から、可視光励起を受けて1電子還元を起こす活性種は、カルボン酸から生じるホウ素エノラートであることが示唆された。可視光駆動型カルボン酸α位アミノ化反応の開発も行った。ヒドロキシアミン誘導体をアミノ化剤とすることで反応が進行するが、カルボン酸基質の構造的な違いによって、ホウ素触媒を用いるのみで良好にα位アミノ化が進行する基質と、光触媒とのハイブリッド触媒系が必要な基質が存在することが分かった。後者について検討を進め、中程度の収率で生成物が得られる反応条件を見出した。
令和3年度が最終年度であるため、記入しない。
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すべて 雑誌論文 (5件) (うち査読あり 5件) 学会発表 (14件) (うち国際学会 4件、 招待講演 1件) 備考 (1件)
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