研究領域 | 分子合成オンデマンドを実現するハイブリッド触媒系の創製 |
研究課題/領域番号 |
20H04818
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
鳶巣 守 大阪大学, 工学研究科, 教授 (60403143)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 遷移金属触媒 / N-ヘテロ環状カルベン触媒 / 有機光レドックス触媒 |
研究実績の概要 |
ハイブリッド触媒系を確立するための基盤研究として特に以下の検討を実施した。 1)N-ヘテロ環状カルベン(NHC)触媒:α,β-不飽和カルボニル化合物とNHC触媒により発生するデオキシBreslow中間体はカルボニルβ位アニオンの等価体として反応することが知られているものの、ホモカップリングやアルキルハライドとの置換反応など反応例は限定的であった。一方、前年度までの研究により、デオキシBreslow中間体が芳香族求核置換反応における求核種として利用できることを明らかにした。この際、フッ素を脱離基にした場合、協奏的機構により進行することがDFT計算等によりわかった。今回、フッ素以外の脱離基についても検討し、その反応性の序列がF>Cl,Br>Iであることを明らかにした。この序列は競争的機構としてはこれまで報告されている序列と逆である。さらに、デオキシBreslow中間体は、Truce-Smiles型の転位反応にも利用可能であり、有機触媒による不活性C-N結合の切断反応の開発に成功した。 2)ジカチオン性有機光レドックス触媒:ビスイミダゾリウム構造からなる新規ジカチオン性光触媒を設計合成した。この触媒は高い光酸化力を持ち、カルボン酸の光脱炭酸に利用可能であることを明らかにした。 3)遷移金属触媒:白金シリレン触媒によるジアリールアセチレンの二量化反応を開発した。この反応はオルト位のC-H結合の活性化をともないナフタレン環が構築され、シリレン配位子を用いた時にのみ特異的に進行する。さらに、パラジウム触媒による酸塩化物および酸フッ化物のTMSCNによる脱カルボニル的シアノ化も開発した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ハイブリッド触媒系に必要な個々の遷移金属触媒、光レドックス触媒、NHC触媒それぞれにおいて、結合活性化における新知見が得られている。
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今後の研究の推進方策 |
個々の触媒反応に関する知見が蓄積されてきたので、ハイブリッド化についても検討を進める。
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