研究領域 | 分子合成オンデマンドを実現するハイブリッド触媒系の創製 |
研究課題/領域番号 |
20H04825
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
三浦 佳子 九州大学, 工学研究院, 教授 (00335069)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 固定化触媒 / モノリス / 連続流通式合成 / 高分子 |
研究実績の概要 |
多孔質高分子モノリスを利用した固定化触媒の開発と連続流通式の反応を詳細に検討した。 スチレン誘導体のトリフェニルホスフィン(TPP)を合成し、ジビニルベンゼン、tert-ブチルスチレンを用いて、ポリスチレン型のモノリスを合成した。まず、アルコールをポロゲンとして、固定化トリフェニルホスフィンを合成し、Pdを配位した触媒を調製した。多孔質体は長鎖アルキルアルコールであるほど、孔径、空隙率が大きかった。また、Pdの配位状態は架橋剤、ジビニルベンゼンによって決定された。ジビニルベンゼンの量が少ない固定化触媒はPdがモノP配位であり、塩化アリールの鈴木宮浦カップリングでバッチ反応において、高い触媒回転数を示した。一方で、アルコールをポロゲンとした固定化触媒の調製は空隙率が十分とは言えず、連続流通合成は達成できなかった。 水と有機溶媒を混合した系で上記と同様の固定化触媒を調製した。高い空隙率のある、TPP固定化触媒を調製することができた。Pdを配位させて、TPP-Pdのモノリス型固定化触媒の調製し、水―有機溶媒(THF)二層系での連続流通式合成を行った。、塩化アリールの鈴木宮浦カップリングについて連続流通式の反応を達成し、最大収率は93%であった。また、境膜に対する分子輸送性を調べ、モノリス型の固定化触媒においては、界面活性剤なしでも反応を進めることができることを確認した。 また、有機分子触媒を用いた多孔質モノリスの開発を行った。L-プロリンを触媒とした、アクリレート系高分子の固定化触媒を調製した。アルコールをポロゲンとして用いる方法、ポリエチレングリコールを用いた高分子混合体の調製方法の2つの手法でモノリス型の固定化触媒の調製を行った。アルドール反応の連続流通式合成を達成した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
これまでにTPP-Pd、分子触媒の多孔質型モノリスの固定化触媒の開発に成功している。TPP-Pdの固定化触媒について、二層系の反応に用いることのできる、高い空隙率の触媒開発に成功している。そのため、当初の目的であった、フローのダイナミクスを境膜に対して用いることで、界面活性剤フリーで相間移動触媒と同等の機能があることを確認している。
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今後の研究の推進方策 |
多孔質モノリスの物理化学的性状と流体のダイナミクスを活用することで、独自のハイブリッド触媒の開発を進める。研究代表者は、モノリス部分、ダイナミクスを中心に検討し、領域内の共同研究者の協力で触媒部分の開発をも進めている。また、ダイナミクスがハイブリッド触媒の機能発揮に重要であるため、トレーサー試験による物質移動の解析も進める。
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