研究実績の概要 |
多孔質高分子モノリスを利用し、固定化触媒の開発と連続流通反応の検討を行い、連続流通反応の特性に伴う、反応特性について検討した。 プロリンを固定化した高分子モノリスを検討した。L-プロリンのメタクリレート誘導体、メチルメタクリレートと共に、PEGをポロゲンとしてラジカル重合を行い、多孔性のプロリン固定化触媒を調製した。その固定化触媒を用いて、アルドール縮合の連続流通合成法を検討した。また、滞留時間分布解析(RTD)を行った。PEGの分子量の違いによって、異なる孔径の高分子固定化触媒を調製することができ、分子量4000と6000 のPEGをポロゲンとして用いた場合に、PEG6000では孔径分布が均一で、効率的に反応が起こることがわかった。また、リアクターの径を4 mm, と500 μmとして反応を行うと、内径が狭いマイクロリアクターではプラグフローが達成され、基質がパルス的に触媒に輸送され、触媒回転数も高くなることがわかった。また、アルドール縮合反応については、95%以上の高い鏡像異性体過剰率で、生成物が得られた。 ポリスチレンを用いたPd触媒固定化モノリスを調製した。スチレントリフェニルホスフィン誘導体、スチレン、ジビニルベンゼンと共にラジカル重合することで、モノリスを調製した。このとき、種々の電子密度を有するスチレン誘導体を用いて、多孔質モノリスの調製を行い、Pdを配位させて触媒を調製した。調製したPd固定化触媒について、鈴木宮浦カップリングを検討した。スチレン誘導体に電子供与基、吸引基を結合させた、ポリスチレン誘導体を調製したところ、π電子密度によって、触媒回転数は大きく異なり、スチレンのπ電子密度によって、Pd触媒の活性、安定性を制御できることを明らかにした。
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