研究領域 | 代謝アダプテーションのトランスオミクス解析 |
研究課題/領域番号 |
20H04847
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
宇田 新介 九州大学, 生体防御医学研究所, 准教授 (20599609)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | システム生物学 / 情報理論 / トランスオミクス |
研究実績の概要 |
トランスオミクスデータは分子種と対応する変数の数が多いのに対して,サンプルサイズは小さく統計学的な観点からは非常にデータ量が少なくなりがちである.サンプルサイズが小さい状況では,ネットワーク構造の推定において信頼性は乏しくなり,ネットワーク構造の比較において局所的なエッジの比較に意味を見出しづらくなる. 我々はエッジにオントロジーを導入することで,ネットワーク構造からエッジに関する統計量を抽出し,局所的なエッジの比較に依らないネットワークの比較方法を開発した.エッジに付与されるオントロジーは,推定対象であるネットワークのノードの分子生物学的属性によって定義される.ノードの分子生物学的属性は,今回はKEGGのデータベースを参照することで決定している.エッジのオントロジーはいくつかの定義が考えられるが,オントロジーの定義次第では,異なる階層間でもエッジに関する統計量を通してネットワークの比較が可能となる利点もある. それぞれ健常マウスと肥満マウスにおいて,情報量的アプローチからネットワーク構造を推定し,グルコース応答に対するネットワーク構造の変化をトランスクリプトームとメタボロームの両階層で本手法によって比較した.その結果,各階層における両者の違いを多様な観点から明らかにすることができた.特に,健常マウスではメタボローム,肥満マウスではトランスクリプトームのそれぞれネットワークによってグルコースに応答するという違いがあることがわかった.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
情報量を用いたトランスオミクスデータの解析に,一定の成果が見込めつつある.
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今後の研究の推進方策 |
引き続き,情報理論的アプローチからトランスオミクスデータの解析手法の開発を進める. 高次元の条件付き相互情報量の推定には,残差やk近傍を用いた統計モデリングによる計算方法の開発を行っていく.その上で,実験生物学を専門とする研究者たちと協力し,実データへの適用を検討する.適用には,サンプルサイズやデータの定量性が重要な要素となってくるため,相互によく意思疎通を図って進める必要がある.
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