研究領域 | 植物の生命力を支える多能性幹細胞の基盤原理 |
研究課題/領域番号 |
20H04893
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研究機関 | 国立研究開発法人理化学研究所 |
研究代表者 |
岩瀬 哲 国立研究開発法人理化学研究所, 環境資源科学研究センター, 研究員 (40553764)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 幹細胞 / カルス / 再分化 / single cell解析 / single nucleus解析 / 傷害応答 |
研究実績の概要 |
植物細胞は一度分化した後でも、全ての幹細胞を新生できることが証明されている。この幹細胞新生の能力は傷害ストレスが引き金になることが多く、特に、カルスと呼ばれる傷口に生成する不定形のヘテロな細胞集団は、幹細胞新生の場となることが知られている。本研究では、カルスを構成する細胞がどのようなidentityを持ち、どのように幹細胞を新生させるかを明らかにする。 植物は傷害部位にカルスと呼ばれる細胞塊を形成し、カルスの中で幹細胞を新生して組織の再生を行うが、この際の細胞系譜や分子プロセスは理解に乏しい。研究代表者らのこれまでの研究から、外因性の植物ホルモンを含まない培地でも、傷口のカルスから根および茎葉が再生するシロイヌナズナ植物体が作製されている。本研究では、この系を用いて、どのようなidentityを有したカルス細胞が、根と茎葉の幹細胞に変化していくのか、その分子メカニズムを経時的single cell/single nucleus解析を用いて明らかにする。予備的な検討として、解析にプロトプラストを用いるか、核を用いるかを検討したところ、傷カルスでは、細胞塊全ての細胞のプロトプラスト化は困難であることを見出した。手法をsingle nucleus解析に絞り、種々の核の単離法を検討したところ、パーコールによる密度勾配遠心法によってDolomite Bio社Nadiaをプラットフォームにするsingle nucleus解析が可能であることが示された。現在、パイロット実験として行ったsingle nucleus解析のデータ解析を進めている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
コロナ禍により、条件検討やパイロット実験におけるシークエンス解析等の実験予定が遅れた。また、2回目以降の本実験において、1度目と同様の処理をしているにもかかわらず、ライブラリー調整がうまく進んでいないため。
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今後の研究の推進方策 |
問題解決のために、現在手動による核単離から、機械を用いた核単離の手法について検討している。
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