研究領域 | 細胞機能を司るオルガネラ・ゾーンの解読 |
研究課題/領域番号 |
20H04901
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研究機関 | 新潟大学 |
研究代表者 |
中津 史 新潟大学, 医歯学系, 准教授 (50360607)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | メンブレンコンタクト |
研究実績の概要 |
本研究では、メンブレンコンタクトによる脂質交換輸送制御機構において重要な役割を担うPI4P合成酵素の機能制御機構の解析を通して、脂質交換輸送ゾーン制御メカニズムとその生理機能を解明することを目的としている。小胞体―エンドソーム・コンタクト構造に局在するオキシステロール結合タンパク質群に着目し、解析を行った。まず、オキシステロール結合タンパク質群は、主にPHドメインによりイノシトールリン脂質を認識することで小胞体―エンドソーム・コンタクトに局在することが明らかになった。さらに、阻害剤やノックダウン手法によるイノシトールリン脂質キナーゼの機能阻害実験などから、これらオキシステロール結合タンパク質群の局在にはエンドソームでのイノシトールリン脂質合成が重要な役割を担うことが明らかになった。また、脂質交換輸送ゾーンの生理機能を解明するために、オキシステロール結合タンパク質群を欠損するゼブラフィッシュを樹立し、野生型およびノックアウト個体の比較解析を行ったところ、組織学的異常がみられた。さらに、トランスクリプトームおよびプロテオーム比較解析などを行い、発現量に顕著な差が認められるタンパク質分子群を同定した。これらの結果から、オキシステロール結合タンパク質群は、個体の発生および機能に何らかの重要な役割を担うことが示唆された。さらなる詳細な解析から、オキシステロール結合タンパク質群の生理機能の解明を目指す。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
前述のとおり、オキシステロール結合タンパク質群による小胞体―エンドソーム・コンタクト構造の形成・維持機構、およびその生理機能についての知見が得られつつあることから、おおむね順調である。オキシステロール結合タンパク質ファミリーにおいては、特に個体を用いた生理機能研究が遅れており、今後さらなる解析を進めることで様々な重要な知見が得られることが期待される。
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今後の研究の推進方策 |
小胞体―エンドソーム・コンタクト構造でのイノシトールリン脂質制御については、引き続きイメージングおよび脂質生化学的手法を用いて解析を進める。また、生理機能についてもノックアウト個体を用いて、形態学、生化学、および脂質生化学的手法により表現形解析を中心に進める。
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