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2020 年度 実績報告書

葉緑体を基軸とするオルガネラ・ゾーンの形成因子と機能実証

公募研究

研究領域細胞機能を司るオルガネラ・ゾーンの解読
研究課題/領域番号 20H04916
研究機関国立研究開発法人理化学研究所

研究代表者

泉 正範  国立研究開発法人理化学研究所, 環境資源科学研究センター, 上級研究員 (80714956)

研究期間 (年度) 2020-04-01 – 2022-03-31
キーワード植物 / オルガネラ / 葉緑体 / 核 / オートファジー
研究実績の概要

植物細胞内で光合成を担うオルガネラである「葉緑体」が関わるオルガネラゾーン(応答ゾーン、連携ゾーン)を対象に、その形成因子の同定と生理機能実証を目指す本計画において、R2年度は以下のような進展があった。
葉緑体の全分解を誘導するゾーン形成因子を同定するため、光ストレス時にオートファジー膜因子と結合する因子の質量分析による網羅的探索を行い、葉緑体に局在する複数のタンパク質が、オートファジー膜因子と結合している可能性を見出した。これらタンパク質を当該ゾーン形成の候補因子とし、その遺伝子情報等の整備を行った。また、同定済みであった葉緑体の部分分解ゾーン形成を抑制する化合物、について作用ターゲット精製に取り組んだが、当該化合物の安定性が極めて低いためにターゲット同定にまでは至らなかった。そこで、別のアプローチとして本条件においてもオートファジー膜因子と結合する因子の網羅的探索を行い、複数の候補因子を得た。それらについてさらなる解析を行うために必要な植物材料(遺伝子欠損系統等)を取り寄せる、あるいはゲノム編集により作出するとともに、遺伝子発現変動解析を行った。また、その局在を観察するための蛍光タンパク質マーカー発現株の作出を行った。
さらに、葉緑体-核連携ゾーンを含む未知のゾーン因子を同定する生化学アプローチとして、近接依存ビオチン標識のためのコンストラクト発現植物を作出、整備した。この材料を使用して、実際に葉緑体包膜に近接する未知のゾーン構成因子を同定するための解析系を構築した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

葉緑体が関わるゾーン形成を抑制する化合物を用いた解析など、想定通り進まなかった解析もあったが、別のアプローチとして生化学的な解析を進めることができた。また他の項目についても、ゾーン因子候補の同定や、そのための材料整備が進んでいるため、本研究はおおむね順調に進展していると判断した。

今後の研究の推進方策

本研究で目指す「ゾーンの生理機能実証」のためには、その解析に必要な植物材料の整備が必要だが、解析・種取りのサイクルを経る必要があるため、材料整備に一定の時間を要することが予想される。そこで研究期間内の目標達成を目指すために、ゾーン因子候補の評価と並行しながらそれら材料整備を進めていく。

  • 研究成果

    (8件)

すべて 2021 2020

すべて 雑誌論文 (5件) (うち査読あり 5件、 オープンアクセス 3件) 学会発表 (3件) (うち招待講演 2件)

  • [雑誌論文] 葉緑体オートファジーの研究展開:植物を超えた議論の発展を目指して2021

    • 著者名/発表者名
      中村咲耶,泉正範
    • 雑誌名

      BSJ-review 植物科学最前線

      巻: 12 ページ: 68-77

    • DOI

      10.24480/bsj-review.12a8.00201

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] RCB-mediated chlorophagy caused by oversupply of nitrogen suppresses phosphate-starvation stress in plants2021

    • 著者名/発表者名
      Yoshitake Yushi、Nakamura Sakuya、Shinozaki Daiki、Izumi Masanori、Yoshimoto Kohki、Ohta Hiroyuki、Shimojima Mie
    • 雑誌名

      Plant Physiology

      巻: 185 ページ: 318-330

    • DOI

      10.1093/plphys/kiaa030

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Autophagy Contributes to the Quality Control of Leaf Mitochondria2020

    • 著者名/発表者名
      Nakamura Sakuya、Hagihara Shinya、Otomo Kohei、Ishida Hiroyuki、Hidema Jun、Nemoto Tomomi、Izumi Masanori
    • 雑誌名

      Plant and Cell Physiology

      巻: 62 ページ: 229~247

    • DOI

      10.1093/pcp/pcaa162

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] Chlorophagy does not require PLANT U-BOX4-mediated ubiquitination2020

    • 著者名/発表者名
      Nakamura Sakuya、Izumi Masanori
    • 雑誌名

      Plant Signaling & Behavior

      巻: 16 ページ: 1861769~1861769

    • DOI

      10.1080/15592324.2020.1861769

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Chloroplast Autophagy and Ubiquitination Combine to Manage Oxidative Damage and Starvation Responses2020

    • 著者名/発表者名
      Kikuchi Yuta、Nakamura Sakuya、Woodson Jesse D.、Ishida Hiroyuki、Ling Qihua、Hidema Jun、Jarvis R. Paul、Hagihara Shinya、Izumi Masanori
    • 雑誌名

      Plant Physiology

      巻: 183 ページ: 1531~1544

    • DOI

      10.1104/pp.20.00237

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [学会発表] シロイヌナズナ葉においてミトコンドリアの品質管理を担うマイトファジーの解析2021

    • 著者名/発表者名
      中村咲耶,萩原伸也、大友康平,石田宏幸,日出間純,根本知己,泉正範
    • 学会等名
      日本植物生理学会
  • [学会発表] 葉緑体が関わるオルガネラ・ゾーン形成2021

    • 著者名/発表者名
      泉正範
    • 学会等名
      第23回植物オルガネラワークショップ
    • 招待講演
  • [学会発表] 葉緑体分解から読み解く普遍的な膜形態制御機構2020

    • 著者名/発表者名
      泉正範、中村咲耶
    • 学会等名
      日本植物学会
    • 招待講演

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公開日: 2021-12-27  

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