研究領域 | 予防を科学する炎症細胞社会学 |
研究課題/領域番号 |
20H04955
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研究機関 | 東洋大学 |
研究代表者 |
浅野 泰仁 東洋大学, 情報連携学部, 教授 (20361157)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 単一細胞シークエンス / ネットワーク / グラフ |
研究実績の概要 |
令和2年度は,まず,研究実施計画上重要な単一細胞シークエンス時系列データをできるだけ収集することに努めた.長浜バイオ大学・小倉教授等と協力して,当予算で遺伝子分析機関に依頼してデータを取得するとともに,筑波大学・島野研究室,東京大学・村上研究室,東京理科大学・松島研究室と協力体制を構築し,様々なデータを入手した. 次に研究目的となる,炎症進行に伴う変化に重要な役割を果たす遺伝子の候補を発見するための遺伝子相関ネットワーク上のランキング手法の開発であるが,令和2年度は単純な手法を複数考案(次数ランキングおよびPageRankを,遺伝子相関ネットワークを正負それぞれの辺だけからなる部分に分解して適用する等)し,パラメータを変えて実験を行い,研究協力者にこの実験結果を提示しフィードバックを得ることで,さらに洗練されたランキング手法を考案するための知見を得た.その結果,単純な手法でもよく知られた重要遺伝子の一部(例えば糖尿病におけるIns1, Ins2遺伝子)等を上位にランキングすることは可能であったが,現在糖尿病への寄与が疑われている遺伝子を上位にランキングすることは不可能であった.この遺伝子の炎症への関与を明らかにするには,まずこれまでカットしていた発現量の少ない遺伝子等も含めた分析が必要になるが,分析すべき行列が巨大になってしまうため,これに対応できる遺伝子相関ネットワーク構築手法を確立した.さらに,令和2年度の終盤からPersonalized PageRank(ウェブ上の関連ページをランキングする手法)に基づく手法を購入した部品を用いた計算機でテストし始めたところである.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の研究実施計画通り,単一細胞シークエンス時系列データの収集および基本的な分析が順調に進展している.また,単純なランキング手法のテストも様々なデータについて完了しており,実施計画で提唱していた正と負の相関を同時に扱うことのできるランキング手法の開発のための知見が揃ってきている.
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今後の研究の推進方策 |
令和3年度は,単一細胞シークエンス時系列データの取得を引き続き実施するとともに,これまで得られた知見をまとめて,査読付き国際学会または論文誌に投稿する.そして,正と負の相関を同時に扱うことのできる遺伝子相関ネットワーク上のランキング手法を確立するとともに,取得したデータに対して提案手法を適用し,研究協力者からフィードバックを得て,手法を改良する.最終的には各種のベンチマークによって提案手法を評価するとともに,炎症進行のプロセス解明のため,得られた重要遺伝子候補(ランキング上位遺伝子)と提案手法を使うためのツールを提示していく.
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