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2020 年度 実績報告書

トッテン棚氷融解の引き金:海洋渦が介在する沖合から棚氷への熱輸送過程の解明

公募研究

研究領域熱ー水ー物質の巨大リザーバ:全球環境変動を駆動する南大洋・南極氷床
研究課題/領域番号 20H04970
研究機関東京海洋大学

研究代表者

溝端 浩平  東京海洋大学, 学術研究院, 助教 (80586058)

研究期間 (年度) 2020-04-01 – 2022-03-31
キーワード東南極インド洋セクター / 定在海洋渦 / 海面力学高度 / 周極深層水
研究実績の概要

衛星搭載型レーダー高度計群(CryoSat-2/SIRAL,Sentinel-3A/SARAL,Sentinel -3B/SARAL, Jason-2/Poseidon-3, Jason-3/Poseidon-3B, Saral/AltiKa)を用いて,これまで不明であった陸棚域を含む南極海における海面力学高度を月平均ベースで算出することに成功した。独自の衛星データセットを構築することで,南極底層水の生成域であるビンセネス湾,近年底面融解が指摘されているトッテン棚氷の沖合だけでなく,同様に底面融解が指摘されるアメリー棚氷や白瀬氷河の沖合にも100から200kmスケールの巨大な海洋渦が定在することが明らかになった。また,トッテン棚氷やアメリー棚氷を有する大陸棚域にも上述の渦とは異なる時計回り循環が存在することも示され,数少ない過去の現場観測結果とも整合的であった。これらの海洋渦は順圧的な流速構造を持つため,衛星観測から導く流速データを用いて中層(300m以深)に存在する周極深層水の行方を追跡が可能である。そこで本研究の海面力学高度データから算出した流速をラグランジュ粒子追跡モデルに適用し,氷床の底面融解の要因である周極深層水の輸送経路をトッテン棚氷周辺海域において調べた。その結果,特にトッテン棚氷やダルトンポリニア沖に定在する渦と大陸棚域の時計回り循環のカップリングによる,大陸棚への効率的な周極深層水の輸送の存在が明らかになった。つまり南極周極流が沿岸に近づき周極深層水を効率的に大陸棚へと輸送する西南極とは異なり,周極流が大陸棚から離れている東南極,かつ氷床が存在する沖合では,定在海洋渦が大陸棚への周極深層水輸送に寄与していることが示唆される。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

当初予定どおり,これまで不明であった大陸棚域における海面力学高度・海洋循環を新規データセットを用いて明らかにすることができた。また,ラグランジュ粒子追跡実験を行うことで陸棚ー海盆間の水塊交換の実態について明らかにすることができた。

今後の研究の推進方策

引き続き本研究独自の海面力学高度データの作成を行う。現時点では月平均であるが海氷域において,Sentinel-3A/SARAL,Sentinel -3B/SARAL, Saral/AltiKaによる海面力学高度の算出方法を確立し,時間解像度を向上させる。

  • 研究成果

    (5件)

すべて 2020

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (4件) (うち国際学会 3件)

  • [雑誌論文] The Cyclonic Eddy Train in the Indian Ocean Sector of the Southern Ocean as Revealed by Satellite Radar Altimeters and In Situ Measurements2020

    • 著者名/発表者名
      Mizobata K.、Shimada K.、Aoki S.、Kitade Y.
    • 雑誌名

      Journal of Geophysical Research: Oceans

      巻: 125 ページ: 1-16

    • DOI

      10.1029/2019JC015994

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [学会発表] Temporal variation of the Antarctic Bottom Water revealed by the mooring measurements off the Vincennes Bay2020

    • 著者名/発表者名
      Kohei Mizobata, Yujiro Kitade, Keishi Shimada, Daisuke Hirano, Yoshimasa Matsumura, Cheng Lingqiao, Shigeru Aoki, Takeshi Tamura
    • 学会等名
      JpGU-AGU Joint Meeting 2020
    • 国際学会
  • [学会発表] The Heart of the East AnTarctic CRyosphere-Ocean Synergy System2020

    • 著者名/発表者名
      Kohei Mizobata, Takeshi Tamura, Daisuke Hirano, Ryosuke Makabe
    • 学会等名
      The 11th Symposium on Polar Science
    • 国際学会
  • [学会発表] Cosmonaut Sea Meso-scale Oceanic Structure Survey (CoSMOSS)2020

    • 著者名/発表者名
      Shigeru Aoki, Daisuke Hirano, Takeshi Tamura, Kohei Mizobata, Kazuya Kusahara
    • 学会等名
      The 11th Symposium on Polar Science
    • 国際学会
  • [学会発表] Oceanic structure of the Vincennes Bay2020

    • 著者名/発表者名
      Keishi Shimada, Yujiro Kitade, Kohei Mizobata, takeshi Tamura
    • 学会等名
      The 11th Symposium on Polar Science

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公開日: 2021-12-27  

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