公募研究
南極大陸の西南極域では,棚氷の崩壊,氷河・氷床の後退とそれに伴う接地線の後退が続いていることが報告されているが,東南極の白瀬氷河やその周辺の溢流氷河では,その氷河の規模と流速の速さにも関わらず,1999年のヨーロッパ宇宙機関(ESA)のC-band人工衛星ERS-1/2搭載SARによる観測以来,接地線の位置は20年以上計測されておらず,当時の接地線位置の検証も行われていない.本研究では,東南極のラングホブデ氷河と白瀬氷河の接地線位置を衛星画像解析で検出するため,多時期のALOS-2/PALSAR-2とCOSMO-SkyMedのマイクロ波データで差分干渉SAR解析による2組の画像データを作成し,その差分から水平成分を除去する二重差分干渉SAR解析(DDInSAR)を用いて,潮汐変動に応じて棚氷の鉛直変動がおよぶ領域への影響を検討し,棚氷の鉛直変動の領域から,接地線の位置を推定した.潮汐変動差が異なるALOS-2のペア画像を解析した結果,潮汐変動差に応じて棚氷の鉛直変動が及ぶ範囲が変化していた.潮汐変動差が大きいほど,棚氷の鉛直変動が及ぶ範囲は上流側に広がることから,あるペア画像で得られた変動縞から接地線を決定することは難しく,潮汐変動の影響を考慮して接地線位置を検討する必要がある.接地線の観測には2回の衛星の観測時間差が短いことが条件であるため,観測条件を唯一満たすイタリアのX-band SAR搭載の人工衛星COSMO-SkyMedによる2回の観測の時間差が1日のペア画像をオーダーした.まだ解析を始めたばかりだが,SARの観測波長がX-bandと短く,C-bandほどの干渉性は得られていない.また,冬期観測データは干渉性は良いものの,夏期に近づくほど干渉性が落ちる傾向がある.このため,冬期のデータを中心に接地線位置の詳細な解析をおこなう予定である.
令和3年度が最終年度であるため、記入しない。
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ISRS2022 (International Symposium on Remote Sensing ,2022)
巻: 1 ページ: 1-4