研究領域 | 共創的コミュニケーションのための言語進化学 |
研究課題/領域番号 |
20H04987
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
早川 卓志 北海道大学, 地球環境科学研究院, 助教 (00758493)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 霊長類 / テナガザル / 発声行動 / 音声コミュニケーション / オミックス / 遺伝子発現 / 次世代シークエンサー / 歌 |
研究実績の概要 |
非ヒト霊長類と、ヒトを大きく分かつ特徴のひとつが、高度な音声言語によるコミュニケーションである。ヒトは音声言語によって互いの意図を共有し、高度なコミュニケーションを成立させることができる。本研究では、非ヒト霊長類の中でも特徴的な音声コミュニケーションをおこなうテナガザルにおいて、その脳で発現している遺伝子を次世代シークエンシングの手法で網羅的に解析する。発声行動と音声コミュニケーションに関係すると考えられる遺伝子の発現プロファイルを解析し、ヒトの音声言語進化につながる遺伝基盤の解明に取り組むことが、本研究の目的である。
今年度は、動物園で亡くなったシロテテナガザル1個体から、動物園ならびに京都大学霊長類研究所の支援を受けて、死後脳を提供いただき、発声ならびに音声コミュニケーションに関連すると思われる脳領域から遺伝子発現産物(RNA)を抽出して、次世代シークエンサーをもちいて網羅的に発現遺伝子を同定した。多変量解析の手法をもちいて、脳領域間での遺伝子発現パターンの違いを明瞭に描き出すことができた。また、国内で飼育されているテナガザル類のプロフィールならびに音声の情報収集に着手した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
予定通り、テナガザルの死後脳からの遺伝子発現産物の抽出および領域ごとでの発現解析をすることができた。まだ1個体であるが、別個体の死後脳の採材ならびに個体情報の収集も進んでおり、継続して本研究課題に取り向く体制を構築することもできた。
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今後の研究の推進方策 |
昨年度に確立した遺伝子発現産物の解析系を、テナガザル複数種複数個体に適用するとともに、外群として大型類人猿やオナガザル類でも同様の解析をおこなう。テナガザルの歌の個体差・種差や、系統を大きく超えて鳴禽類などの歌う脊椎動物との比較を通じて、霊長類の発声行動と音声コミュニケーションの遺伝基盤にちての知見を固める。
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