• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2020 年度 実績報告書

自閉スペクトラム症幼児における意図共有の脳内基盤と初期の言語獲得過程の関連

公募研究

研究領域共創的コミュニケーションのための言語進化学
研究課題/領域番号 20H04993
研究機関金沢大学

研究代表者

吉村 優子  金沢大学, 学校教育系, 准教授 (70597070)

研究期間 (年度) 2020-04-01 – 2022-03-31
キーワード自閉スペクトラム症 / 言語発達 / 共同注意
研究実績の概要

本研究の目的は、新学術領域研究「共創的コミュニケーションの言語進化学」で取り組む意図共有と階層性の関係性の解明の中で、特に意図共有に関連した共同注意行動と言語発達の関連及び意図共有にかかわる音声を聞いた際に引き起こされる大脳皮質の反応を、定型発達児と自閉スペクトラム症児を対象に調べることである。2020年度は、自閉スペクトラム症の成人を対象に、意図共有の音声を聞いた際の脳活動と言語能力の関連を調査した結果について報告した。また、共同注意の発達が自閉スペクトラム症の子どもの言語機能に与える影響について検証した。3-7歳の自閉スペクトラム症のある子ども116名(男児87名、女児29名)を対象に、共同注意行動と言語機能の関係を調べた。共同注意行動の尺度として、自閉症評価尺度(ADOS)に含まれる共同注意の項目の得点を用い、言語機能の評価として、認知機能検査K-ABCの言語機能に関する下位検査「数唱」(聴覚的短期記憶)「表出語彙」(言語表出)「なぞなぞ」(言語的概念推論)と、PVT-R(言語理解)を用いた。共同注意行動とそれぞれの言語機能との関連を調べた結果、共同注意行動と「なぞなぞ」(言語的概念推論)に有意な相関あることがわかった。つまり、3-7歳の自閉スペクトラム症児において、共同注意の障害の程度が、言語の概念的推論能力に関連することが示された。本結果は、これまで比較的低年齢の子どもを対象に調査されてきた共同注意と言語獲得の関連について、3歳以上という1,2語文を獲得した以降の年齢では、共同注意行動がなぞなぞ課題に反映されるような言語の意味のネットワークの構築にも寄与することを示唆する結果である。本結果について国際学術誌へ投稿の準備を進めている。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

現在までに、研究を遂行するために必要なデータを収集することができている。現段階で、必要な機材などを整えており、次年度も本研究課題の目標を達成するための研究に取り組むための準備を整えつつある。

今後の研究の推進方策

2020年度の結果をもとに、引き続き共同注意行動と意図共有の音声「ね」を聞いた時に引き起こされる脳活動との関連を調査する。

  • 研究成果

    (5件)

すべて 2021 2020

すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件、 オープンアクセス 3件) 学会発表 (2件) (うち招待講演 1件)

  • [雑誌論文] Shorter P1m Response in Children with Autism Spectrum Disorder without Intellectual Disabilities.2021

    • 著者名/発表者名
      Yuko Yoshimura , Takashi Ikeda , Chiaki Hasegawa , Kyung-Min An , Sanae Tanaka , Ken Yaoi , Sumie Iwasaki , Daisuke N Saito , Hirokazu Kumazaki , Hirotoshi Hiraishi , Mitsuru Kikuchi
    • 雑誌名

      International journal of molecular sciences

      巻: 22 ページ: 2611

    • DOI

      10.3390/ijms22052611

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] Markers for the central serotonin system correlate to verbal ability and paralinguistic social voice processing in autism spectrum disorder2020

    • 著者名/発表者名
      Yuko Yoshimura, Mitsuru Kikuchi, Daisuke N Saito, Tetsu Hirosawa, Tetsuya Takahashi, Toshio Munesue, Hirotaka Kosaka, Nobushige Naito, Yasuomi Ouchi, Yoshio Minabe
    • 雑誌名

      Scientific Reports

      巻: 10 ページ: 14558

    • DOI

      10.1038/s41598-020-71254-w

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] The maturation of the P1m component in response to voice from infancy to 3 years of age: A longitudinal study in young children.2020

    • 著者名/発表者名
      Yuko Yoshimura , Chiaki Hasegawa , Takashi Ikeda , Daisuke N Saito , Hirotoshi Hiraishi , Tetsuya Takahashi , Hirokazu Kumazaki , Mitsuru Kikuchi
    • 雑誌名

      Brain and behavior

      巻: 10 ページ: e01706

    • DOI

      10.1002/brb3.1706

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [学会発表] 自閉スペクトラム症幼児における聴覚誘発磁場と言語能力2020

    • 著者名/発表者名
      吉村優子
    • 学会等名
      第46回コミュニケーション障害学会
  • [学会発表] 自閉スペクトラム症児の聴覚処理と言語発達2020

    • 著者名/発表者名
      吉村優子
    • 学会等名
      京都大学大学院医学研究科人間健康科学系専攻ASDプロジェクト
    • 招待講演

URL: 

公開日: 2021-12-27  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi