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2020 年度 実績報告書

マーモセットは他個体の脅威の状況に合わせて警戒音声を発する頻度を変えるか?

公募研究

研究領域共創的コミュニケーションのための言語進化学
研究課題/領域番号 20H04998
研究機関名古屋大学

研究代表者

川合 伸幸  名古屋大学, 情報学研究科, 教授 (30335062)

研究期間 (年度) 2020-04-01 – 2022-03-31
キーワード警戒音声 / 言語進化 / 霊長類 / ヘビ / 自閉症モデル動物
研究実績の概要

本研究は、マーモセットおよびその自閉症モデルが、他個体の脅威状況に合わせて警戒音声の発生頻度を変えるかを調べようとするものである。
野生のチンパンジーを対象とした研究では、プレイバック実験によって他個体の警戒音声を聞いた後にヘビのオモチャを見たときのほうが、それ以外の音声を聞いた後にヘビのオモチャを見たときよりも警戒音声の頻度が低かった。すなわち、他個体が警戒音声を発したなら、すでにヘビを検出しているので警戒音声を発する必要はそれほどないが、それ以外の音声を発しているということは、まだヘビに気づいていない可能性があるので、警戒音声をより高頻度で発する必要がある。すなわち、他個体の意図や視点の共有をしていると考えられる。
本研究は、そのことを新世界ザルのマーモセットと他個体への関心が弱いことが確かめられている自閉症モデルマーモセットで同様の検討をするものである。しかし、2020年度は、10月末まで実験動物棟を改修するため、まったく動物実験ができなかった。そのため、その間に日本モンキーセンターで、数十種の霊長類を対象にヘビのオモチャをみせて、警戒行動と警戒音声の記録を行った。京都大学霊長類研究所の香田啓貴氏との共同研究である。動物が実験動物棟に戻ってきてからは、まず警戒音声を聞いたときにヘビの映像を長く見るかを検討した。その結果、自閉症モデル動物もその統制動物も警戒音声が聞こえるときにヘビをよく見るという傾向は示されたものの、有意な結果には至らなかった。この研究に加え、2021年度の研究のために、どの個体がヘビのオモチャに対してよく警戒音声を発するかを調べた。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

4: 遅れている

理由

研究対象となる動物を飼育・管理している国立精神・神経医療研究センターが動物飼育棟を回収するため、2020年3月から9月末まで動物を別のところに移動し、この間まったく実験ができなかったため進捗が大幅に遅れた。9月以降に動物が戻ってきてからもすぐには実験に使用できるわけではなく、環境に慣らすために1-2月を要した。

今後の研究の推進方策

2020年度の研究の遅れを取り戻すために、研究補助員を新たに雇用した。これまでの研究員に加えて、実験従事者を増やすことで、遅れを取り戻せるか考えている。

  • 研究成果

    (7件)

すべて 2020

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (4件) 図書 (1件)

  • [雑誌論文] Humans detect snakes more accurately and quickly than other animals under natural visual scenes: A flicker paradigm study2020

    • 著者名/発表者名
      Kawai, N., & Qiu, H.
    • 雑誌名

      Cognition and Emotion

      巻: 34 ページ: 614-620

    • DOI

      10.1080/02699931.2019.1657799

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Older adults exhibit greater brain activity than young adults in a selective inhibition task by bipedal and bimanual responses: An fNIRS study.2020

    • 著者名/発表者名
      Kawai, N., Nakata, R., & Kubo-Kawai, N.
    • 雑誌名

      NeuroReport

      巻: 31 ページ: 1048-1053

    • DOI

      10.1097/WNR.0000000000001516

    • 査読あり
  • [学会発表] Hyperactivity in the valproic acid-induced marmoset model of autism2020

    • 著者名/発表者名
      Nakamura, M., Nakagami, A., Nakagaki, K., Kawai, N., & Ichinohe, N.
    • 学会等名
      第43回日本神経科学大会
  • [学会発表] 作品に関する先行知識はネガティブな情動を喚起する絵画の印象や生理反応を変えるか?2020

    • 著者名/発表者名
      三浦慎司, 川合伸幸
    • 学会等名
      日本心理学会第84回大会
  • [学会発表] 応援に伴う身体運動は映像作品の登場人物の魅力を高めるか2020

    • 著者名/発表者名
      三浦慎司,川合伸幸
    • 学会等名
      日本認知科学会第37回大会
  • [学会発表] 怒りを紙に記入して捨てると、 怒りは抑制されるか?2020

    • 著者名/発表者名
      金谷悠太,川合伸幸
    • 学会等名
      日本認知科学会第37回大会
  • [図書] プロジェクション・サイエンス 心と身体を世界につなぐ第三世代の認知科学 第6章「社会的な存在 -他者- を投射する」2020

    • 著者名/発表者名
      中田龍三郎・川合伸幸
    • 総ページ数
      256(第6章139-157)
    • 出版者
      近代科学社

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公開日: 2021-12-27  

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