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2020 年度 実績報告書

網膜オルガノイドを用いた、細胞の光感受性と器官の頑強性を制御するメカニズムの解析

公募研究

研究領域細胞社会ダイバーシティーの統合的解明と制御
研究課題/領域番号 20H05036
研究機関奈良先端科学技術大学院大学

研究代表者

笹井 紀明  奈良先端科学技術大学院大学, 先端科学技術研究科, 准教授 (80391960)

研究期間 (年度) 2020-11-19 – 2022-03-31
キーワード光受容細胞 / 網膜 / Prominin-1 / 網膜色素変性症
研究実績の概要

体内の各組織には様々な機能を持った多数の細胞がダイバーシティーを持って存在しており、その細胞間に存在するネットワークが組織全体の正常な機能の発揮に必要である。特定の細胞が壊死すると、その影響が周囲の細胞にも及んで組織全体の機能が損なわれ、結果として組織の構造・機能の崩壊へと繋がる。
眼球内で発生する網膜色素変性症は、このような経過をたどる眼疾患の1つである。光受容細胞の壊死に端を発し、その壊死の影響が周囲の細胞へと及び、最終的には網膜全体の細胞が壊死して失明に至る。本研究はその過程を追跡することにより、組織の頑強性が維持されるメカニズムのほか、組織崩壊の端緒を阻止する方策を明らかにすることが目的である。
この目的で、網膜色素変性症モデルマウスを用いて野生型網膜と網膜色素変性症網膜で遺伝子発現の比較を行った。その結果、網膜色素変性症の初期段階でエンドセリンシグナルが惹起されていることが明らかになった。また、このシグナルの活性化が短時間の光刺激によって惹起されることが明らかになり、網膜色素変性症が(少なくとも一部は)光刺激によって引き起こされることが証明された。また、光受容細胞から分泌されたエンドセリンシグナルがグリア細胞に作用し、グリア細胞が活性化されてグリオーシスと呼ばれる状態を引き起こしていることを明らかにした。これは、網膜色素変性症が進行するにつれて組織内の細胞のダイバーシティーが変化することを意味する。現在、単細胞レベルでの遺伝子発現解析を行い、発現量の変化が起こる遺伝子と、その変化が生じる細胞を同定している。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

網膜色素変性症モデルマウスにおいて網膜の外顆粒層が薄層化すること、エンドセリンが惹起されること、その結果グリア細胞の活性化が起きることを明らかにした。さらに、この崩壊が光刺激によって惹起されることを証明し、その過程において発現レベルが変化する遺伝子を単細胞遺伝子発現解析によって明らかにした。

今後の研究の推進方策

単細胞遺伝子発現解析によって、発現量に変化がみられた遺伝子について、薬剤または遺伝子強制発現法を用いて発現量を野生型レベルに戻し、そのときに光受容細胞の見られる表現型を明らかにする。

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公開日: 2022-12-28  

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