研究実績の概要 |
本研究では、メダカ胚を観察対象として、その全身を細胞レベルの分解能でかつ低光毒性での計測が可能なライトシート顕微鏡の開発を行い、細胞の網羅的かつ経時的イメージングが可能なシステムの構築を目標とした。まず、広視野・高分解能2光子励起ライトシート顕微鏡の開発を行った。これまで2光子励起のライトシート顕微鏡への利用には励起範囲(ライトシート顕微鏡では視野範囲)の狭さが問題となっていた。本研究ではこの問題を解決するために、レーザー集光範囲を光軸方向に伸長するベッセルビームを用いて広視野化を実現した顕微鏡システムを構築した。拡大率10倍NA0.3の対物レンズを用いた場合に、軸方向分解能を2-3μmに保ったままビーム長1000μmを達成し、従来技術(視野範囲600μm,分解能2μm)からの改善を果たし、その成果を国際科学誌(Takanezawa et al, Nat Commun 12:2979, 2021)にて発表した。さらにこの光学系の拡張を進めて、ライトシート顕微鏡による多視点蛍光3D計測と光投影トモグラフィ法の実現を果たし、計画した細胞の網羅的蛍光計測と明視野計測が可能なシステム構築を達成した。長期間に渡るライブイメージングとして,リンパ管発生過程の観察を行った。発生を阻害せずに3日間に渡るタイムラプスイメージングに成功した。さらに骨形態過程における網羅的細胞観察のために細胞核がGFPで標識されたTG系統を確立し、椎骨の弯曲癒合が見られるメダカ変異体における細胞多様性解析を進めた。
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