研究領域 | 細胞社会ダイバーシティーの統合的解明と制御 |
研究課題/領域番号 |
20H05043
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研究機関 | 京都府立医科大学 |
研究代表者 |
八代 健太 京都府立医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (60432506)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 心室大血管関係 / 心筋 / 心内膜 / 心臓神経堤細胞 / 細胞間相互作用 / シングルセル解析 / 3Dイメージング / 転写因子Pitx2 |
研究実績の概要 |
心室と大血管(大動脈と肺動脈)の連結関係に異常のある複雑な先天性心疾患の予後の改善には、多くが不明の分子病態の理解が必要である。胚の心臓心室からの出口にあたる流出路(将来の大動脈幹と肺動脈幹)は多様な細胞群から構成され、その細胞の機能と細胞間相互作用が心室大血管関係の形態形成に必要だと示唆されているが、各細胞の特質と細胞間相互作用を担うシグナルの本態は明らかではない。また、流出路の形態異常と直接関係がない心室心筋に、先天性の機能的異常を生じる可能性も否定できない。本研究計画では、これらの疑問に対し、大血管転位症を生じる転写因子Pitx2ΔASE/ΔASE変異マウスを用いて、心臓流出路に対するシングルセル解析を行い、その情報と発生過程の形態学的変化の情報を統合し、またPITX2の転写標的遺伝子をCut & Tagアッセイにより同定することで上記の疑問点の解明を目指している。令和2年度はCOVID-19 pandemic下で研究活動が大きく制限を受けたため計画通りに実施できなかった要素項目が多く、研究計画に遅れが生じた。外的要因で実施が遅れている必要な研究費を、令和3年度に繰り越した。解剖学的構造を解析するため、組織透明化と蛍光免疫染色を施した解析標的ステージのマウス胚心臓の試料作成、シングルセル解析のための試料作成に終始せざるを得なかったが、社会的状況の改善に伴い遅れを取り戻すための作業を実施しており、令和3年度にはデータ取得が完了し解析に入る予定である。Cut & Tagアッセイは実験系の構築が難しいことが判明したため、Cut & Runアッセイへとプランを変更し、実験系の構築を行なっている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究計画では、大血管転位症を生じるPitx2ΔASE/ΔASE変異マウスを用いて、(1)心臓流出路の形態形成過程の3D画像解析、(2)心臓流出路のシングルセル解析、(3)転写因子PITX2の標的遺伝子を同定するためのCut & Tagアッセイの、3つの要素項目の実施を目標として行われた。 (1)心臓流出路の形態形成過程の3D画像解析:野生型とPitx2ΔASE/ΔASE変異マウスに対し、流出路の形態形成過程にある10日胚から12日胚に対し、心筋、心内膜・内皮および心臓神経堤細胞に対し蛍光染色を行い、LUCIDもしくはQUBIC透明化法により組織を透明化し、先端バイオイメージング支援 (ABiS) を介して京都大学大学院医学研究科 松田道行教授のサポートを得て光シート蛍光顕微鏡により画像を取得し、3D 画像化を行う予定であった。COVID-19 pandemicによる緊急事態宣言・全国一斉休校・通勤制限・動物実験施設での研究活動等によりサンプルの調整ができず、遅れを生じた。 (2)心臓流出路のシングルセル解析:野生型とPitx2ΔASE/ΔASE変異マウスに対し、流出路の形態形成が進行している10日胚、11日胚、12日胚の流出路の組織を回収し、10X Genomics ChromiumとIllumina NoveSeq6000によりscRNA-seqをによるデータ取得を実施するよていであったが、(1)と同様の理由でサンプルの調整が実施プラン通りにできなかった。社会的状況の改善に伴い、、遅れを取り戻すために作業している。 (3)転写因子PITX2の標的遺伝子を同定するためのCut & Tagアッセイ:アッセイ系の立ち上げを実施しているが、Tn5 transposaseによるtagmentationがうまく機能しないため、Cut & Runアッセイへと実験系の変更を行うこととした。
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今後の研究の推進方策 |
本研究計画では、大血管転位症を生じるPitx2ΔASE/ΔASE変異マウスを用いて、(1)心臓流出路の形態形成過程の3D画像解析、(2)心臓流出路のシングルセル解析、(3)転写因子PITX2の標的遺伝子を同定するためのCut & Runアッセイの、3つの要素項目の実施を目標として行われた。 (1)心臓流出路の形態形成過程の3D画像解析:野生型とPitx2ΔASE/ΔASE変異マウスに対し、流出路の形態形成過程にある10日胚から12日胚に対し、蛍光免疫染色を行ったマウス胚の試料を作成後に、組織透明化を施したのちに光シート顕微鏡にて画像を四宮かに取得し解析する。 (2)心臓流出路のシングルセル解析:野生型とPitx2ΔASE/ΔASE変異マウスに対し、解析標的のステージの胚に由来するシングルセル試料を準備出来次第、速やかにscRNA-seqを実施し、データの解析を行う予定である。 (3)転写因子PITX2の標的遺伝子を同定するためのCut & Runアッセイ:Cut & Tagによる実験系の樹立が難しいことがわかったため、Cut & Runアッセイに方針を切り替えて、実験系の構築を行い、実験試料が準備出来次第に次世代シーケンサーによるデータ取得へ移行する予定である。
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