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2020 年度 実績報告書

多領域に渡る記憶セルアセンブリの動態解明

公募研究

研究領域脳情報動態を規定する多領野連関と並列処理
研究課題/領域番号 20H05045
研究機関北海道大学

研究代表者

野村 洋  北海道大学, 薬学研究院, 講師 (10549603)

研究期間 (年度) 2020-04-01 – 2022-03-31
キーワード脳・神経 / 記憶
研究実績の概要

記憶を始めとしてあらゆる脳機能は、個々の局所回路の演算が適切に下流の領域に伝達されることで実行される。しかし従来、局所回路のセルアセンブリ研究と領域間の情報伝達に関する研究は独立して行われてきた。そのため、ある領域内に含まれる記憶セルアセンブリが、他の領域の記憶セルアセンブリとどのように関係するかは不明であった。多領域に渡る記憶セルアセンブリ研究の遅れは、複数の脳深部領域の活動を同時に測定する手法が不足していることが原因である。そこで本研究では、独自のイメージング法を用いて、多領域に渡る記憶セルアセンブリの動態を明らかにする。まず複数の脳深部領域から同時にCa2+イメージングを行う実験系を改良した。記憶に関わる領域の神経活動を1細胞の解像度で測定するため、蛍光Ca2+センサーGCaMP6を発現させるアデノ随伴ウイルスを注入した。そして脳深部から画像を取得するため、極細の対物レンズ(GRINレンズ)を埋め込んだ。特にGRINレンズの埋め込み手術やGRINレンズを保護するカバー、イメージングする際の顕微鏡の設定を調節することで、実験の成功率を向上させた。
さらに、記憶課題中の神経活動を明らかにするため、古典的条件づけを行う際のイメージングを行った。マウスに対して、音とスクロース水を組み合わせて提示した。その結果、音を提示しただけで舌を出すような記憶に基づいた行動が観察された。こうした古典的条件づけの形成、想起、消失時の神経活動を測定した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

当初、令和2年度の研究計画としては実験系の改良と実際に記憶課題中のイメージングを行うことを予定していたが、その計画通りに実験系を改良し、イメージングに取り組むことができた。in vivo Ca2+イメージングは得られるデータ量が多いが難易度が比較的高い実験技術である。通常は1箇所からイメージングを行うが、本研究では複数箇所からのイメージングを行うため、全体としての難易度はさらに高くなる。そのため、脳手術のプロトコールやその後の待機期間中の取り扱い、さらには実際のイメージングを行う際の手順を再度見直し、実験の成功率を飛躍的に向上させることに成功した。そしてこの手法を用いて、実際に記憶課題中の神経活動のイメージングに取り組んだ。そして記憶セルアセンブリの観察に成功している。このように当初の予定通りに実験系の改良と実際のイメージングの遂行に成功しており、総合的に考えるとおおむね順調に進展していると判断した。

今後の研究の推進方策

これまでに得られたデータを解析するとともに、確立したイメージング法をさらに活用して記憶課題中の神経活動を測定し、領域内の記憶セルアセンブリおよび多領域に渡る記憶セルアセンブリの特徴を解明する。記憶の形成、想起時に、各領域内で同期して活動する
ニューロン集団が存在するか、さらにそのニューロン集団の特徴を調べる。同期して活動するニューロン集団1つ1つを記憶セルアセンブリと定義する。さらに、領域内の記憶セルアセンブリが、他領域の記憶セルアセンブリとどのように関連して活動するかを調べる。特に、記憶セルアセンブリに選ばれるニューロンの特徴や、学習の成立に伴って記憶セルアセンブリの形成、安定化が進むかについて、領域内および多領域にわたるセルアセンブリ両者に関して調べる。これまでに得られたデータや今後得られるデータは非常に膨大になる。1細胞単位の解析だけでなく、多次元のデータを適切に次元圧縮し評価しやすい形での解析にも注目して取り組む。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2021

すべて 学会発表 (1件)

  • [学会発表] ヒスタミンH3受容体逆作動薬による嗅周皮質神経活動の調節作用2021

    • 著者名/発表者名
      平野匡佑、久保絢女、南雅文、野村洋
    • 学会等名
      第30回 神経行動薬理若手研究者の集い

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公開日: 2021-12-27  

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