研究実績の概要 |
本研究は、外来遺伝子発現を長期間持続できる低細胞毒性型の伝播能欠損型狂犬病ウイルス(RV)ベクターを開発することにより、特定の神経回路のみの神経活動計測・操作をげっし類および霊長類で実現することを目的とする。今年度は、昨年度に開発した一ヶ月程度の外来遺伝子発現を実現する低細胞毒性型・伝播能欠損型RVベクターを更に改変したベクターを作製した。同ベクターはin vitroで複製速度の減弱が見られたため、このベクターをラットに注入し、生存期間を振って還流固定を行ない、組織学的解析によりin vivoでの発現量、発現期間、細胞毒性などを検証したところ、開発したベクターでは2-3ヶ月の外来遺伝子発現を実現し、かつ逆向性感染効率・外来遺伝子発現量も十分であることが示された。この結果を受け、カルシウムイメージングプローブXCaMP-G, XCaMP-Rを発現する低細胞毒性型・伝播能欠損型RVベクター(新型)の回収を試み、これに成功した。また、特定細胞種への投射細胞選択的な細胞活動イメージングを実現するため、EnvXシュードタイピングベクターと、Creリコンビナーゼ存在下でTVXとRVGを発現するアデノ随伴ウイルスベクターの構築と回収を行なった。今後これらのベクターをラットに注入してin vivoでの発現量とイメージング効率およびイメージング可能期間、細胞毒性などを検証し、最終的に数ヶ月以上生理機能解析を可能とする低細胞毒性型・伝播能欠損型RVベクターシステムを確立する。
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