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2020 年度 実績報告書

巨視的脳構造結合を介した脳情報通信のシミュレーション解析と種間比較

公募研究

研究領域脳情報動態を規定する多領野連関と並列処理
研究課題/領域番号 20H05066
研究機関奈良先端科学技術大学院大学

研究代表者

福嶋 誠  奈良先端科学技術大学院大学, 先端科学技術研究科, 助教 (70836452)

研究期間 (年度) 2020-04-01 – 2022-03-31
キーワード脳構造ネットワーク / コネクトーム / 離散事象シミュレーション / パケット情報通信 / 経路選択戦略
研究実績の概要

今年度は,脳内の情報はどのような経路選択戦略に基づいて領野レベルの巨視的脳構造ネットワーク上を進んでいくと考えることが妥当であるのかを,離散事象シミュレーションモデルを用いたシミュレーション解析を通して検証した.各経路選択戦略の脳情報通信モデルとしての妥当性については,ネットワーク上におけるパケット情報通信への適性の有無を基準に評価した.より具体的には,ある経路選択戦略のもとで,情報を分割して送受信する「パケットスイッチング」の方式での情報伝達に要する時間が,情報をひとまとめにして送受信する「メッセージスイッチング」の方式での情報伝達に要する時間よりも短くなったときに,当該経路選択戦略がパケット情報通信への適性をもち,脳情報通信モデルとして妥当なモデルであるとみなした.本評価基準は,脳内の情報はバースト状の細かなスパイク列を通してやりとりされており,そのようなパケットベースの情報通信に適した経路選択戦略が実際の脳情報通信にも反映されているのではないかという仮説に基づいている.シミュレーション解析の結果,これまでの脳情報通信モデリングでよく用いられてきた単純なランダムウォークモデルや最短経路選択モデルにはパケット情報通信への適性がみとめられなかったのに対し,ランダムウォークモデルの拡張版であるインフォームド・ランダムウォークモデルやバイアスド・ランダムウォークモデルにはパケット情報通信への適性がみとめられることが示された.これらのモデルは単純なランダムウォークモデルや最短経路選択モデルとは異なり,両者とも互いにトレードオフの関係にある通信時間と情報コスト効率性の両面で優れた経路選択戦略であり,本結果はこのような性質をもつ経路選択戦略が脳情報通信モデリングにとって有用であることを示唆している.

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

脳情報通信のモデリングにおいて仮定することが妥当な経路選択戦略を明らかにするためのシミュレーション解析を,当初予定していた通りに実行できたため.

今後の研究の推進方策

今後は,今年度までに得られた知見を原著論文としてまとめることに加えて,得られた知見の種間比較(ヒト・マカクザル間の比較)にも取り組む.

  • 研究成果

    (7件)

すべて 2020 その他

すべて 国際共同研究 (1件) 雑誌論文 (1件) (うち国際共著 1件、 査読あり 1件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (4件) (うち国際学会 1件、 招待講演 1件) 備考 (1件)

  • [国際共同研究] インディアナ大学(米国)

    • 国名
      米国
    • 外国機関名
      インディアナ大学
  • [雑誌論文] Structural determinants of dynamic fluctuations between segregation and integration on the human connectome2020

    • 著者名/発表者名
      Makoto Fukushima, Olaf Sporns
    • 雑誌名

      Communications Biology

      巻: 3 ページ: 606

    • DOI

      10.1038/s42003-020-01331-3

    • 査読あり / オープンアクセス / 国際共著
  • [学会発表] 脳結合データのネットワーク分析2020

    • 著者名/発表者名
      福嶋 誠
    • 学会等名
      第4回ヒト脳イメージング研究会
    • 招待講演
  • [学会発表] マクロスケールコネクトーム上における脳情報通信の経路選択モデル2020

    • 著者名/発表者名
      福嶋 誠・ライプニッツ 賢治
    • 学会等名
      第43回日本神経科学大会
  • [学会発表] Exploring the brain's routing strategies by simulating packet-based communication on the connectome2020

    • 著者名/発表者名
      Makoto Fukushima, Kenji Leibnitz
    • 学会等名
      26th Annual Meeting of the Organization for Human Brain Mapping
    • 国際学会
  • [学会発表] 脳ネットワーク上におけるパケット通信の離散事象シミュレーション2020

    • 著者名/発表者名
      福嶋 誠・ライプニッツ 賢治
    • 学会等名
      第64回システム制御情報学会研究発表講演会
  • [備考] 個人webページ

    • URL

      https://sites.google.com/site/mfukushimawebjp

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公開日: 2021-12-27  

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