公募研究
本研究は、天然光合成の初期過程における集光・電荷分離と電子移動間の連係プレイ(Interplay)に関するものである。これらの素機能を担う光捕集複合体LH1、反応中心RC、水溶性電子伝達タンパク質HiPIPと膜内チトクロム(Cyt) bc1を研究対象とし、LH1-RC、HiPIPとCyt bc1からなる光捕集・電荷分離・電子伝達の3機能を併せもつ超分子複合体の共結晶化と構造解析を行い、これらの複合体間において機能調節を司る相互作用の構造基盤の解明を目指す。本年度は好熱性光合成細菌Thermochromatium (Tch.) tepidum由来でHiPIPと光捕集反応中心複合体LH-RCからなる電子伝達複合体の共結晶構造を決定し、詳細な電子伝達経路を原子レベルで解析した。共結晶の構造に基づいて疎水性相互作用部位の特徴とFe-Sクラスターからスペシャルペアまでの電子伝達経路を調べたところ、電子伝達複合体の形成に伴う顕著な構造変化は両タンパク質の接触界面に限られ、特にheme-1はより歪んだコンフォメーションをとっていることがわかった。電子伝達経路について、電子は4Fe-4SクラスターのS1から出発し、S1→Leu63(HiPIP)→heme-1→heme-2→heme-4→heme-3→Tyr171(RC L-subunit)→Special pair (RC)の順に到達する経路が最適であることが明らかになった。この成果は国際学術誌(Nature Communications 12, 1104; 2021)に掲載された。
令和3年度が最終年度であるため、記入しない。
すべて 2021
すべて 雑誌論文 (6件) (うち国際共著 6件、 査読あり 6件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (1件)
Nature Communications
巻: 12 ページ: 1104
10.1038/s41467-021-21397-9
巻: 12 ページ: 6300
10.1038/s41467-021-26561-9
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