研究領域 | 光合成分子機構の学理解明と時空間制御による革新的光ー物質変換系の創製 |
研究課題/領域番号 |
20H05101
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研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
木村 行宏 神戸大学, 農学研究科, 准教授 (20321755)
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研究期間 (年度) |
2020-11-19 – 2022-03-31
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キーワード | 紅色光合成細菌 / 光捕集1反応中心複合体 / キノン輸送 |
研究実績の概要 |
本研究では紅色細菌由来のLH1-RC、キノン、脂質を用いて光合成膜を再構成する手法を確立する。LH1-RCについては同位体置換体やLH1の形 状が異なる複数の種由来のものを、キノンについては同位体や側鎖の長さが異なる複数のユビキノンを、脂質については光合成膜を構成するCardiolipin 、Phosphatidylcholine 、Phosphatidylethanolamine 、Phosphatidylglycerol を用いる。様々な組み合わせで再構成した膜について、キノン還元からキノール輸送に至るキノン動態を振動分光学的にモニタリングし、膜内部におけるキノン動態の直接的な実験的証拠を得ることを目的とする。また、キノン-タンパク質間相互作用やキノン-脂質間相互作用を検証することにより、キノン-キノール輸送経路およびその分子機構を明らかにする。具体的には、「1. 天然および人工再構成膜調製法の確立」、「2. 光合成膜およびLH1-RCにおけるキノール生成の検出」、「3. 天然再構成膜、人工再構成膜におけるキノール生成の検出」、「4. 再構成膜系キノール生成における同位体置換、キノン置換、脂質置換の効果」、「5. ATR-FTIRおよびHPLCを用いた遊離キノールの検出、「6. 形状の異なるLH1-RCを用いた比較研究」について検討する。 本年度はこれまでに天然再構成膜を用いて上記1-4の内容を実施した。即ち、13C同位体置換型LH1-RC、ユビキノン(UQ0~UQ10)および天然の膜脂質を用いて再構成膜を調製する手法を確立し、光誘起赤外分光法によるQH2生成およびキノン置換についての研究内容をまとめ、BBA誌に報告した(Kishi et al. Biochim. Biophys. Acta 1862, 148307, 2021)。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
既述のように、天然再構成膜を用いた実験系を確立し、結果を学術雑誌に掲載した。現在は主要構成脂質の一つであるPhosphatidylcholineを用いた人工再構成膜の系について検討を進めている。今後、他の構成脂質であるCardiolipin、Phosphatidylethanolamine 、Phosphatidylglycerol についても人工再構成膜の調製方法を確立し、種々のキノンと脂質を組み合わせた系について光誘起赤外分光法によるQH2検出を試みる。上記5およひび6については次年度に実施する予定である。
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今後の研究の推進方策 |
現状、計画通りに研究が進行していることから、予定通りに課題を遂行する。実験の進行状況によっては脂質類やキノンが不足する可能性があるが、別予算での購入も検討する予定である。
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