公募研究
量子効率は,半導体光触媒の性能を表す重要な指標でありながら,粉末系の半導体光触媒においては吸収光子量の把握が難しいが故に「見かけの」量子効率に置き換えられて評価されてきた.本研究では,光音響分光分析と光触媒反応系を組み合わせることによって,光触媒反応に由来する熱量変化を解析し,粉末系光触媒反応の「真の」量子効率を測定することのできるシステムを確立することを目的に行った.研究開始初年度(R2年度)では,光音響分析装置,光触媒反応器,生成物分析装置(TCDのガスクロマトグラフ)が一体となった分析システムを構築し,アルミをドープしたチタン酸ストロンチウム(Al:SrTiO3)粒子を平面基板に固定した試料を用いて水蒸気を含むアルゴンガス流通下で水分解反応を行ったところ,得られた「真の」量子効率の妥当性を確認している.2年目(R3年度)は,温度コントローラー,温湿度計,ガスサンプラ―を分析系に組み込むことで,装置の拡張を行った.様々な,湿度・温度条件において検討を行ったところ,光触媒反応の進行に由来する発生熱量と「見かけの」量子効率の間の相関関係によって得られる光吸収効率(光照射波長:365 nm)は,いずれの条件においても同等の値を示しており,「真の」量子効率としても妥当な結果を得ることができた.今後は,本分析システムを懸濁系光触媒の反応系に拡張し検討を行う予定である.また,2年目(R3年度)は,平成30~令和元年度の新学術領域研究(公募)において確立した半導体光電極の「真の」量子効率測定システムを拡張し,種々の発光波長を有する発光ダイオード(LED)を光源として用いることによって,バナジン酸ビスマス(BiVO4)/FTO光電極の量子収率測定の照射波長依存性を行った.光照射方向(BiVO4サイド,FTOサイド)によって「真の」量子効率の照射波長依存性が大きく異なることが明らかとなった.
令和3年度が最終年度であるため、記入しない。
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Applied Catalysis A: General
巻: 634 ページ: 118539~118539
10.1016/j.apcata.2022.118539
The Journal of Physical Chemistry C
巻: 126 ページ: 4889~4898
10.1021/acs.jpcc.2c00603