研究領域 | 光合成分子機構の学理解明と時空間制御による革新的光ー物質変換系の創製 |
研究課題/領域番号 |
20H05111
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研究機関 | 大阪市立大学 |
研究代表者 |
天尾 豊 大阪市立大学, 人工光合成研究センター, 教授 (80300961)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 二酸化炭素還元 / 生体触媒 / 人工補酵素 / 半導体光触媒 / 可視光応答 |
研究実績の概要 |
水を電子源とした二酸化炭素の可視光還元反応はCO・ギ酸が生成物であり,多電子還元に基づくメタノールやメタンを生成させた研究例は少なく,また明確な反応メカニズムで証明される可視光エネルギーを利用した二酸化炭素からメタノールやメタン生成系は皆無である.本提案では,半導体光触媒電極を光アノード,炭素ファイバー電極をカソードとした光電気化学セルを用い,ギ酸・ホルムアルデヒド・アルコール脱水素酵素(それぞれFDH,FldDH,ADHと略記)それぞれに対して最も有効に作用するビオローゲンを基盤とした電子メディエータの光還元を介した水を電子源とした二酸化炭素‐メタノール変換系を構築することを目的とする.研究期間内に進める研究項目は以下の3つである ①FDH・FldDH・ADHそれぞれに対して最も有効に作用するビオローゲンを基盤とした電子メディエータの設計と創製 ②酸化チタン・バナジン酸ビスマス等半導体光触媒を用いた水を電子源とする電子メディエータの光還元系の構築 ③半導体光触媒電極を光アノード,炭素ファイバー電極をカソード,FDH・FldDH・ADHを触媒とした可視光による二酸化炭素のメタノールへの還元系の構築と効率化 2020年度は光触媒による水の分解サイトとビオローゲン誘導の還元サイトを物理的に分離し,隔膜を介して連結した光電気化学セル(半導体光触媒電極を光アノード,炭素ファイバー電極をカソード)を用いて,カソード側にビオローゲン誘導体を添加し,光アノード側から光照射し,一電子還元型ビオローゲン誘導体の生成について光電気化学的・分光学的手法により明らかにした.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初計画通り,光触媒による水の分解サイトとビオローゲン誘導の還元サイトを物理的に分離し,隔膜を介して連結した光電気化学セル(半導体光触媒電極を光アノード,炭素ファイバー電極をカソード)を用いて,カソード側にビオローゲン誘導体を添加し,光アノード側から光照射し,一電子還元型ビオローゲン誘導体の生成について光電気化学的・分光学的手法により明らかにできた.さらにカソード側にギ酸脱水素酵素を加え,無バイアスでの光照射による二酸化炭素のギ酸への還元も達成できたことからおおむね順調に進展している.加えて.関連する研究成果の一つとしてイオン液体をを媒体とした極限環境下での光照射による二酸化炭素のギ酸への還元も国際共同研究として達成することもできた.
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今後の研究の推進方策 |
2020年度までに得られた知見をもとに,複合酵素(FDH, FldDH及びADH)カスケード系での二酸化炭素-メタノール還元効率向上及び半導体光触媒と複合酵素を用いた二酸化炭素のメタノールへの光還元系の構築へ展開する.用いる半導体光触媒は酸化チタンから検討を始め,その後バナジン酸ビスマス等可視光応答型半導体光触媒材料へと展開する. 以上の研究を進めることにより,領域全体の達成目標「本質的かつ生産的な生物・化学融合領域の創成」に大きく貢献でき,国内ではほとんど達成できていなかった半導体光触媒・電子メディエータ・生体触媒を連携させた革新的二酸化炭素のメタノールへの光還元系を達成する.
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