公募研究
水分解光触媒は、水と太陽光からクリーンなエネルギー源である水素を製造できるため、長年注目を集めている。このような光触媒の高活性化には、金属ナノ粒子(NPs)を助触媒として光触媒上に担持することが有効である。我々はこれまでに、金属NPsよりも微細な金属ナノクラスター(NCs)や金属錯体を合成し、それらを担持する手法を確立することで、活性点となる助触媒の微細化に伴う水分解光触媒の高活性化に成功してきた。一方、一部の半導体光触媒においては、励起された電子と正孔(キャリア)が、それぞれ到達しやすい結晶面が存在することが知られている。そのため、微細な助触媒を適切な光触媒結晶面に選択的に担持できれば、更なる活性向上が期待できる。そこで、本研究では、水素生成助触媒として働く微細なロジウム(Rh)酸化物を、光触媒上の励起電子が移動しやすい結晶面(水素生成面)へ選択的に担持する方法を開発し、水分解活性の更なる向上を試みた。光触媒担体には18-facet SrTiO3(18-STO)を、助触媒の前駆体には液相法により合成したRh錯体(Rh:SG)を用いた。初めに18-STO表面上に酸化クロム(Cr2O3)膜を光電着させた。その後、この光触媒にRh:SGをメタノール存在下で光電着することにより、Rh:SGを18-STOの結晶面のうち水素生成面({100}面)上に選択的に担持させた。次に、焼成処理により配位子を除去し、光照射することで目的の光触媒(RhxCryOz /18-STO)を調製した(本手法)。本手法で調製した光触媒は、Bare-18-STOと比較して大幅に高い水分解活性を示した。これは、NCs吸着法と比較しても1.2倍高い。これらは、Rh酸化物助触媒を18-STOの水素生成面に選択的に担持することによって、励起キャリアの再結合が抑制されたためだと解釈した。
令和3年度が最終年度であるため、記入しない。
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