研究領域 | 出ユーラシアの統合的人類史学:文明創出メカニズムの解明 |
研究課題/領域番号 |
20H05123
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研究機関 | 山形大学 |
研究代表者 |
松本 剛 山形大学, 人文社会科学部, 准教授 (80788141)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | ランバイェケ / シカン遺跡 / 大広場 / 埋葬 / 儀礼 / 饗宴 / 醸造 / 空間分析 |
研究実績の概要 |
新型コロナウイルス感染症の世界的な流行によってペルーに渡航すること自体が不可能となり、2020年度および2021年度と二度にわたって現地調査が延期となった(予算の一部は再繰越)。2021年度もペルーに渡航できない場合には、日本から現地協力者たちにリモートで指示を与えることで調査を進めることも視野に入れていた。ところが野外で安定した通信環境を確保し、綿密な連絡体制を確立することは難しく、リモート調査の実施は断念せざるを得なかった。なによりもペルー国内の感染状況が思わしくなく、そもそも調査中の現地協力者たちの身の安全を確保することができなかった。 こうした制約のある中でも、現地協力者との連携や研究テーマの理解を深めるためにリモート会議の回数を増やし、勉強会を開催するなど、研究推進に務めた。また、これらと並行して、これまでに蓄積したデータの分析を行った。とくにパレテアダ土器や醸造用土器の分析、遺跡内空間情報の見直しと再分析からは大きな成果が得られた。それらの成果を論文や図書にまとめ、国内外の学会にて発表した。コロナ禍がゆえのオンライン開催という利点を活かし、日本・アメリカ・ペルーの三ヵ国で開催された学会に参加できたことは大変有意義であった。 2022年度には無事ペルーに渡航することができ、現地協力者との連携のもと、幾つもの重要な成果を上げることができた(詳細は2021年度の報告を参照)。また、このときの調査の成果をもとに、学会発表を行っただけでなく、マヤ考古学者として中米メキシコ・カンペチェ州において長年調査を行っている塚本憲一郎氏(カリフォルニア大学リバーサイド校人類学科助教授)と超地域的な比較研究を行うための国際研究シンポジウムを開催した。共通テーマに関する闊達な議論の末、長期的な共同研究の見通しも得られた。このようにして二度にわたる調査延期による研究の遅れは取り戻せたと考える。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
新型コロナウイルス感染症の世界的な流行によってペルーに渡航すること自体が不可能となったため、予定していた海外渡航による調査がすべて中止となった。
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今後の研究の推進方策 |
新型コロナウィルス感染症の蔓延によって、二度にわたって現地調査を延期し、予算繰越せざるを得なかった。日本から現地協力者たちにリモートで指示を与えることで調査を進めることも視野に入れていたが、野外で安定した通信環境を確保し、綿密な連絡体制を確立することは大変難しく、リモート調査の実施は断念せざるを得なかった。なによりもペルー国内の感染状況が思わしくなく、そもそも調査中の現地協力者たちの身の安全を確保することが不可能だった。今後も感染状況や日本から海外への渡航規制など、その時々の動向に大きく左右されることが予想されるが、臨機応変に対応しながら計画実行と研究推進に努めるしかない。 次年度(2022年度)に無事ペルーに渡航できる場合には、シカン遺跡大広場において8月上旬から6週間の発掘調査を実施する。発掘作業と並行して遺物整理作業を行い、発掘調査の後2週間、国立シカン博物館にて土器の肉眼分析を実施する。調査はペルー国内の状況に合わせて日程を調整しながら実施する。調査延期と予算繰越によって作業量が倍増することが予想されるが、調査人員を増やすことで対応する。野外作業完了後は、速やかに調査の報告書を作成し、ペルー共和国・文化省に提出する。調査結果を国内外で開催される学会にて発表する。
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