公募研究
2021年度はFiber Bragg gratingを用いた多軸同時ひずみ測定の研究を進めた。ネマティック超伝導体については、これまでのSrxBi2Se3に加え、CuxBi2Se3についても測定を行い、超伝導転移温度Tc以下で自発的なひずみは生じないことが分かった。この結果については現在論文投稿の準備中である。さらに、Ising強磁性体であるURhGeがPiezomagnetismという効果を示すという理論予測に着目し、この物質の磁場中でのひずみ測定に着手した。その結果、強磁性転移の前後でひずみの磁場依存性が興味深いふるまいをすることを示しつつある。他に、年度途中からネマティック電子液晶状態が実現していると考えられているカゴメ金属CsV3Sb5の研究に着手した。この物質で94K以下で実現する電荷秩序状態において時間反転対称性破れを検出する磁気光学カー効果の測定を行い、自発的な時間反転対称性の破れが生じており、さらにそれと磁場が強く結合していることも明らかにした。本成果は現在論文投稿間近である。磁気光学カー効果に関しては、そのほかにも時間反転対称性を破るカイラル超伝導の候補物質であるSr2RuO4-RuやFe(Se,S)についても実験を着手している。また、CsV3Sb5の回転磁場下での比熱測定を行い、比熱の伝導面内角度依存性や上部臨界磁場の伝導面内異方性に6回振動と2回振動が生じることを明らかにした。これらの結果から、超伝導状態にネマティシティーが生じていることと、6回対称なノード構造を持つこと、多成分超伝導の実現が示唆されることなどが明らかになった。本成果についても論文投稿を準備している。他に、Sr2RuO4において「スメクティック液晶のような空間並進対称性を破った超伝導」であるFFLO状態を示す共同研究の成果について論文執筆を進め、2022年度初頭にScience誌に論文を発表した。
令和3年度が最終年度であるため、記入しない。
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Science
巻: 376 ページ: 397~400
10.1126/science.abb0332
https://ss.scphys.kyoto-u.ac.jp
https://ss.scphys.kyoto-u.ac.jp/person/yonezawa/index.html
https://www.kyoto-u.ac.jp/ja/research-news/2022-04-22