公募研究
2020年に実験グループと共同で発表した超伝導ダイオード効果の内因的メカニズムを解明し、内因的超伝導ダイオード効果と名付けた。超伝導ダイオード効果とは、臨界電流の非相反性により、ある方向に電流を流した場合には電気抵抗ゼロであり逆方向に流した場合には電気抵抗が有限となる現象である。内因的超伝導ダイオード効果では、クーパー対の重心運動量と密接に関係したメカニズムによりダイオード効果が起こる。本研究課題では、ギンツブルグランダウ理論とBCS理論を併用して、ラシュバ超伝導体における内因的超伝導ダイオード効果の磁場温度相図を決定した。その結果、クーパー対の重心運動量が急激に増加するクロスオーバー現象に伴って、超伝導ダイオード効果が符号反転を起こすことを示した。この結果により、空間反転対称性が欠如した結晶に特有のエキゾチック超伝導相であるヘリカル超伝導相を実験的に検出する方法が見出された。また、スピン三重項超伝導体として注目を集めている重い電子系超伝導体UTe2に関する理論研究を行った。この物質の第一原理計算を参考にして24バンド3次元周期アンダーソン模型を構築し、ランダム位相近似により超伝導不安定性を調べた。その結果により、強磁性-反強磁性クロスオーバーが圧力下で起こること、またそれに伴って超伝導相のパリティ転移が起こることを提案した。これらの結果に基づいて、圧力下の多重超伝導相図を解析した。さらに、超伝導体のパリティ転移に伴い、偶パリティ超伝導と奇パリティ超伝導が共存する超伝導状態が安定になることを提案し、その共存相の性質を解明した。特にポーラーな対称性を持つアナポール超伝導を発見し、そこではボゴリウボフ準粒子のスペクトルが非対称になり、クーパー対が有限の重心運動量を獲得することを示した。
令和3年度が最終年度であるため、記入しない。
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すべて 国際共同研究 (4件) 雑誌論文 (25件) (うち国際共著 9件、 査読あり 25件、 オープンアクセス 4件) 学会発表 (11件) (うち国際学会 10件、 招待講演 11件)
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