公募研究
カイラルd波超伝導候補物質であるハニカム格子を有するBaPtAs1-xSbxのx=0.9と1の試料において、ミュオンスピン緩和(μSR)実験を行った。ゼロ磁場μSR測定の結果、x=0.9ではTc以下の超伝導状態でミュオンスピン緩和率の増大は見られず、自発磁化は発生しないが、x=1ではTc=1.6K以下でミュオンスピン緩和率が増大し、自発磁化の証拠を得た。これらのことから、x=1の試料ではカイラル超伝導が発現しており、またAsを僅かに置換すると自発磁化が消失することからカイラルd波である可能性が高いと結論した。パルスレーザー堆積法(PLD)を用いて作製した鉄カルコゲナイド超伝導体FeSe1-xTexの薄膜において、低エネルギーミュオンを用いたμSR測定を行った。その結果、Te置換とともに磁気転移温度が低下することを見出した。また、電子ネマティシティが消失するTe組成の前後で大きな変化はなかった。これらのことから、電子ネマティシティとスピン相関の発達には直接の相関がない可能性が高いと結論した。無限層構造を有する銅酸化物(Ca0.85Sr0.15)1-xLaxCuO2の薄膜をPLDで作製し、酸化/還元アニールを行って輸送特性を調べた。その結果、母物質のx=0では酸素アニールによって電気抵抗率が大きく低下し、金属化することがわかった。一方、電子をドープしたx=0.1では、還元アニールによって電気抵抗率が大きく低下し、金属化することがわかった。これらのことから、母物質ではCuO2面内酸素の欠損が、電子をドープした薄膜では過剰酸素がそれぞれ存在している可能性が高いと結論した。
令和3年度が最終年度であるため、記入しない。
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Physical Review B
巻: 103 ページ: 184504(1-8)
10.1103/PhysRevB.103.184504
http://www.ph.sophia.ac.jp/~adachi/