公募研究
本研究の目標は、原子層物質において力学特性がもたらす局所電子構造変化を解明・制御することで、新しい光・電子機能(オプト・バレートロニクス)デバイスの実現を目指す。具体的には、空間反転対称性が破れた原子層物質、遷移金属ダイカルコゲナイド(TMDC)が有する、波数空間における磁気的に非等価なバレーを力学的に制御する手法を確立し、これにより生じるバレー流を新たな自由度とするデバイスの作製を目的とする。本研究目的に対し、本年度は(I)ヘテロ界面歪みによる室温円偏光発光の生成・制御と、(II)歪みを利用した高偏極率な円偏光発光素子の設計、の2項目について取り組んだ。以下にそれぞれの項目に関して研究実績の概要を示す。(I)原子層ヘテロ接合を用いた室温円偏光発光素子まず化学成長したTMDC面内ヘテロ単層膜を用いて電解質発光素子を作製し、ヘテロ界面からの電流励起発光を直接観測した。次に、界面発光の円偏光分解を測定したところ、室温において10%以上の高い円偏光分極が観測された。最後、ヘテロ界面の原子配列を電子顕微鏡で評価した結果、界面歪みが室温円偏光生成の起源であることを明らかにした。原子層ヘテロ構造は、化学合成による多様な材料展開や、大面積化・パターニング技術も適用でき、材料設計による高効率な円偏光発光素子が期待できる。(II)歪みによる高偏極率な室温円偏光発光素子の設計上記の結果及び昨年度の成果により、TMDCの力学制御が円偏光発光の生成・制御に極めて有用な手法であることが示された。最後、100%室温円偏光発光を実現するための最適な歪み効果(強度・方位)及び電場等のデバイスパラメータを、理論計算によりシミュレーションを行った。その結果、現状のデバイス設計において歪みを増大することで、今後100%室温円偏光発光素子の作製が実験的に達成可能であることが明らかとなった。
令和3年度が最終年度であるため、記入しない。
プレスリリース
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すべて 国際共同研究 (1件) 雑誌論文 (8件) (うち国際共著 2件、 査読あり 8件) 学会発表 (26件) (うち国際学会 16件、 招待講演 3件) 備考 (1件)
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