研究領域 | 機能コアの材料科学 |
研究課題/領域番号 |
20H05196
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研究機関 | 一般財団法人ファインセラミックスセンター |
研究代表者 |
吉田 要 一般財団法人ファインセラミックスセンター, その他部局等, 上級研究員 (00397522)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 蛍光体 / ゼオライト / 銀カチオン / 構造解析 / 電子顕微鏡 |
研究実績の概要 |
令和2年度においては、銀カチオン交換FAU型ゼオライト(Ag-FAU)の構造解析を中心的に行った。試料作製としては市販のナトリウムカチオン型ゼオライト(Na-FAU)粉末に対して硝酸銀水溶液中でのカチオン置換を行い、銀カチオンをゼオライト細孔内に導入した。構造解析手法としては収差補正高分解能電子顕微鏡(AC-HRTEM)法および収差補正走査透過型電子顕微鏡(AC-STEM)法による原子スケール直接観察により行った。多孔性セラミックスであるゼオライトは電子顕微鏡観察時において電子線照射により容易に損傷を受け非晶質化するため、観察条件(電子線照射密度・時間,取得信号の選択,結像法の選択)については十分な検討を行い、場合に応じて適切な画像処理を選択しそれによるノイズ除去も行い構造解析を進めた。Ag-FAUについて複数の晶帯軸投影による構造解析を行ったところ、これまでに報告のあるD6Rケージ内のAgクラスターとは別にスーパーケージ内で特異な銀クラスターカチオン構造が見出された。 また細孔形状の影響について考察する観点から網羅的に異なる構造タイプへの銀カチオン導入を行い、特性評価・構造観察から銀ゼオライト蛍光体として適切な材料系の抽出も行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
新規レアアース蛍光体として期待されているAg-FAUゼオライトについて、これまでに報告のなかった銀クラスターカチオン構造を見出すに至っている。電子線への耐性が課題となるゼオライト材料について電子顕微鏡観察条件の検討が進み、原子スケール直接観察が可能となっている。銀カチオン形成メカニズムおよび蛍光特性発現メカニズムの解明に向けた準備が十分整った状況であり概ね予定通りの進捗となっている。
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今後の研究の推進方策 |
Ag-FAU内の銀クラスター構造解析データを元に計算化学グループと連携しクラスター形成メカニズムの解明を進めていく。また構造タイプの異なるゼオライト類に対しても銀カチオンの導入を行い、それらの構造解析および比較を行っていく。
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