研究実績の概要 |
昨年度は、主として疎水性高分子、およびそのブロック共重合体を用いて高湿度下(60-90%RH)での運動挙動をAFM観察したが、poly(methyl methacrylate)(PMMA)を除き、いずれも並進運動の観察には至らなかった。 本年度は、より高い運動性の期待される親水性高分子(poly(2-hydroxyethyl methacrylate), poly(methacylic acid), poly(N-isopropyl acrylamide)(PNIPAM),四級化poly(4-vinyl pyridine)等)に検討範囲を広げて検討を行った。その結果、親水性が高い高分子が必ずしも高湿度下で高い運動性を示すわけではなく、基板との吸着力が分子鎖の運動に大きな影響を与えることが分かった。 検討した中で最も高い運動性を示したPNIPAMと疎水性高分子であるPMMAのブロック共重合体の運動挙動を検討した。高湿度下でPMMAは主鎖方向にへびのように運動するのに対して、PNIPAMは基板上で激しく無秩序に運動するが、そのブロック共重合体の運動は、PMMAブロック鎖が先行して不定形に動くPNIPAMを引き連れて動く場合や、無秩序に運動するPNIPAMが主鎖方向に移動するPMMAを引き連れて動く場合等、規則性がなく、ブロック共重合体による制御された運動挙動は観察されなかった。
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