研究領域 | 水圏機能材料:環境に調和・応答するマテリアル構築学の創成 |
研究課題/領域番号 |
20H05219
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
寺島 崇矢 京都大学, 工学研究科, 准教授 (70452274)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | セルフソーティング / 自己組織化 / 両親媒性ランダム共重合体 / ミセル / ハイドロゲル |
研究実績の概要 |
本研究では、両親媒性ランダム共重合体が水中で自己組織化して形成するミセルを「水圏機能材料」と定義し、異なるポリマーが共存する環境でも自己を認識して選択的に同じポリマー同士で会合する(この現象をセルフソーティングという)ミセル材料を創出する。 令和2年度(1年目)は、両親媒性ランダム共重合体による水中でのミセル構築とそのセルフソーティング挙動を調べ、セルフソーティングに有効な分子設計指針の確立と、ミセルの構造や動的挙動の評価を行った。リビングラジカル重合により、様々な親水性基(PEG鎖や4級アンモニウム塩など)と疎水性アルキル基を側鎖にもつ両親媒性ランダム共重合体を合成し、その共重合体のミセル化挙動を調べた。ミセルのサイズは、共重合体の側鎖構造と組成(疎水/親水バランス)により決定され、疎水性の増加によりミセルサイズが増加することがわかった。また、ある特定の重合度(鎖長)以下の場合、ミセルのサイズは共重合体の分子量分布に依存せず、その結果、鎖長を変化させることで、会合数も自在に制御できた。カチオン性共重合体のミセルは、従来のPEG鎖をもつ共重合体のミセルと同様に、水中で組成選択的に自己組織化し、組成の異なるカチオン性共重合体を混合すると、セルフソーティングして異なるサイズのミセルを同時に形成することが明らかになった。一方、PEG系ミセルとカチオン性ミセルを混合すると共自己組織化して融合ミセルを形成する可能性を見出した。現在、その共自己組織化とセルフソーティングの制御を検討中である。また、ランダム共重合体やランダム共重合体を会合性ユニットとするランダムブロック共重合体のミセルの鎖交換挙動についても詳細な解析を進めており、鎖交換などのミセルの動的挙動を会合数や疎水性基の構造により制御できることも明らかとなりつつある。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
両親媒性ランダム共重合体ミセルのセルフソーティング挙動を系統的に調べる過程で、効率的に共自己組織化するポリマーの組み合わせを発見した。この結果は、共自己組織化とセルフソーティングを制御できる可能性を示唆しており、当初の予想を遥かに超えた発見といえ、今後、計画以上の発展と進展が期待される。
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今後の研究の推進方策 |
本研究は、当初の計画以上に進展しており、2年目も計画の通り推進する予定である。
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