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2020 年度 実績報告書

生体分子・細胞との相互作用を制御する革新的水圏機能材料の創製

公募研究

研究領域水圏機能材料:環境に調和・応答するマテリアル構築学の創成
研究課題/領域番号 20H05233
研究機関慶應義塾大学

研究代表者

長瀬 健一  慶應義塾大学, 薬学部(芝共立), 准教授 (10439838)

研究期間 (年度) 2020-04-01 – 2022-03-31
キーワード温度応答性高分子 / 機能性界面 / ポリマーブラシ / 水和 / 脱水和 / 細胞分離
研究実績の概要

本研究では、温度応答性高分子界面での水分子の挙動の詳細な解析を行ない、さらなる機能性を有する温度応答性高分子界面の設計指針を構築し、革新的な分離材料を創出する。
2020年度は、温度応答性高分子であるポリ(N-イソプロピルアクリルアミド)(PNIPAAm)の高分子ブラシに関して温度変化による水和挙動の解析を行った。原子移動ラジカル重合(ATRP)により、密度、鎖長が異なるPNIPAAmブラシを作製し、中性子反射率測定により、PNIPAAmブラシの水和挙動を観察した。PNIPAAmの密度、鎖長が異なることで、温度変化によるPNIPAAmブラシの水和挙動、脱水和による収縮挙動が異なることが示唆された。
さらにPNIPAAmの水和状態を変化させた新しい高分子ブラシ構造を作製した。下層にカチオン性の高分子であるポリ(N,N-ジメチルアミノプロピルアクリルアミド)(PDMAPAAm)、上層に温度応答性高分子PNIPAAmを修飾したブロック共重合体PDMAPAAm-b-PNIPAAmブラシを二段階のATRPにより作製した。PDMAPAAm-b-PNIPAAmブラシの場合は、下層に荷電性官能基を有することで、PNIPAAmブラシと比較して水和しやすい挙動を示した。また温度変化による表面電位の変化が確認された。この特性を利用して、幹細胞と他の細胞を分離する材料への応用を行ったところ、温度変化で幹細胞を夾雑細胞から分離することが可能であった。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

当該年度に予定していた温度応答性高分子ブラシの水和挙動解析に着手することができた。さらに、新たな構造を有する高分子ブラシの作製をすることができ、幹細胞の分離への応用をすることができた。これらの理由より当初の計画どおり順調に進捗しているといえる。

今後の研究の推進方策

2021年度は、温度応答性高分子ブラシの水和挙動について、軟X線発光分光や、水晶振動子マイクロバランス(QCM)などを用いた検討を行う。さらに、新たな構造を有する温度応答性高分子ブラシを作製し、温度応答性高分子の高機能化を行う。

  • 研究成果

    (16件)

すべて 2021 2020

すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (13件)

  • [雑誌論文] Selective capture and non-invasive release of cells using a thermoresponsive polymer brush with affinity peptides2021

    • 著者名/発表者名
      Nagase Kenichi、Shimura Masaki、Shimane Ruka、Hanaya Kengo、Yamada Sota、Akimoto Aya Mizutani、Sugai Takeshi、Kanazawa Hideko
    • 雑誌名

      Biomaterials Science

      巻: 9 ページ: 663~674

    • DOI

      10.1039/D0BM01453B

    • 査読あり
  • [雑誌論文] 温度応答性高分子を利用した抗体医薬品分離技術の開発2021

    • 著者名/発表者名
      長瀬健一,金澤秀子
    • 雑誌名

      B&I バイオサイエンスとインダストリー

      巻: 79 ページ: 38~39

  • [雑誌論文] 刺激応答性高分子を用いたバイオセパレーション2020

    • 著者名/発表者名
      長瀬健一,金澤秀子
    • 雑誌名

      高分子

      巻: 69 ページ: 472~473

  • [学会発表] ペプチドリガンドを用いた温度制御による簡便な細胞分離法の開発2020

    • 著者名/発表者名
      島根瑠霞, 長瀬健一, 金澤秀子
    • 学会等名
      第80回分析化学討論会
  • [学会発表] 温度応答性高分子とカチオン性高分子をリガンドとした新規ミックスモードカラムの開発2020

    • 著者名/発表者名
      長瀬健一,北澤早紀子, 山田創太, 秋元 文,金澤秀子
    • 学会等名
      第80回分析化学討論会
  • [学会発表] 医療現場での簡便かつ安全な除タンパクを可能にする温度応答性スピンカラムの開発2020

    • 著者名/発表者名
      石澤佑太, 長瀬健一, 金澤秀子
    • 学会等名
      第80回分析化学討論会
  • [学会発表] 細胞治療のための高機能細胞精製法2020

    • 著者名/発表者名
      長瀬健一,金澤 秀子
    • 学会等名
      第36回日本DDS学会学術集会
  • [学会発表] 正電荷を有する温度応答性充填剤を用いたラベルフリー細胞分離法の開発2020

    • 著者名/発表者名
      枝常吾郎, 山田創太, 長瀬健一, 金澤秀子
    • 学会等名
      日本分析化学会 第69年会
  • [学会発表] オリゴヌクレオチド分離のための温度応答性アニオン交換クロマトグラフィーの開発2020

    • 著者名/発表者名
      山崎開智, 前川祐太朗, 井原美和, 長瀬健一, 金澤秀子
    • 学会等名
      日本分析化学会 第69年会
  • [学会発表] 抗体精製を目的とした温度応答性HPLCカラムの開発2020

    • 著者名/発表者名
      石井咲樹 , 山田創太, 市川大樹, 長瀬健一, 服部豊, 金澤秀子
    • 学会等名
      日本分析化学会 第69年会
  • [学会発表] 温度応答性培養基材を用いたラベルフリー肝細胞分離法の開発2020

    • 著者名/発表者名
      小島直人, 長瀬健一, 赤池敏宏, 後藤光昭, 金澤秀子
    • 学会等名
      第64回日本薬学会関東支部大会
  • [学会発表] 温度応答性クロマトグラフィーを用いた血中薬物濃度測定法の開発2020

    • 著者名/発表者名
      西山輝乃, 長瀬健一, 金澤 秀子
    • 学会等名
      第64回日本薬学会関東支部大会
  • [学会発表] 機能性高分子が切り拓くDDSと再生医療2020

    • 著者名/発表者名
      長瀬健一,金澤 秀子
    • 学会等名
      第64回日本薬学会関東支部大会
  • [学会発表] 細胞認識ペプチドを用いた温度制御型細胞分離法の開発2020

    • 著者名/発表者名
      島根瑠霞, 志村昌紀, 花屋賢悟, 山田創太, 長瀬健一, 須貝威, 金澤秀子
    • 学会等名
      ライフサポート学会 フロンティア講演会
  • [学会発表] ラベルフリー細胞分離を実現する温度制御型細胞分離カラムの作製2020

    • 著者名/発表者名
      長瀬健一, 枝常吾郎, 山田創太, 金澤秀子
    • 学会等名
      日本薬学会 第141年会(広島)
  • [学会発表] 機能性高分子を用いたラベルフリー肝細胞分離技術の開発2020

    • 著者名/発表者名
      小島直人, 長瀬健一, 後藤光昭, 赤池敏宏, 金澤秀子
    • 学会等名
      日本薬学会 第141年会(広島)

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公開日: 2022-12-28  

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