研究実績の概要 |
本研究は当初2020年4月から2022年3月の2年計画であったが、ちょうどコロナ禍の時期と重なり、当初の計画通りは進まず2023年度に予算を繰り越す形となった。特に、本研究は海外の研究者との連携が重要であったため、海外渡航を計画していたが全てオンラインでの共同研究となり、なかなか計画通りに研究が進まないことがあった。改めて対面での議論の重要性を実感した。
本研究は各種暗黒物質探索実験データ、すなわち直接探索実験、加速器実験、そして間接探索実験と暗黒物質を含む素粒子標準理論を超える模型を系統的、包括的に照合することを目的としたものである。 今年度は、お茶の水女子大学のグループとのある特定の暗黒物質模型に対する理論・実験の制限、将来実験に対する発見感度を包括的に調べた論文 [Phys. Rev. D 104 (2021) 035023] をもとに、研究会やスクールで講演、講義を行うことができ、本研究課題の総括ができた。具体的には、コロナ禍の中久々に対面で行われた神戸での暗黒物質の研究会 (DM3, 2022.9.15-17)で招待講演を行い、またベトナムで行われた国際スクール(VSOP)で講師を務めた。また大学の教養の講義、高校や市民講座での出前講義等でも積極的に暗黒物質に関する話題を取り上げアウトリーチ活動にも力を入れた。 最後に、間接探索実験に関しては期間内にシミュレーションプログラムの検証まで行えず、今後の課題として引き続き取り組んでいきたい。
|