公募研究
本研究では、Zr-96を用いたニュートリノを放出しない二重ベータ崩壊事象を10の27乗年以上の半減期での観測を実現するため、チェレンコフ光の位相幾何学情報である平均角を用いてTl-208のベータ・ガンマ事象の除去を実証する計画である。まず、半径2.65cmの特性丸底フラスコにZICOS実験用液体シンチレータを注入し、周囲に3/8インチ光電子増倍管(PMT)を50本配置したUNI-ZICOS検出器を製作した。この検出器にY-88からの1.836MeVのガンマ線を照射し、後方100度に散乱したガンマ線を検出することで検出器中央に1.484MeVの単色一定方向の電子を発生させ平均角を測定した結果、44度にピークが見られ、シミュレーションと一致することがわかった。ここで、PMTの光量を用いて事象の発生点を再構成する必要があるが、シミュレーションでは2mmの標準偏差で求められ、観測データも検出器中央に発生点が観測されている。次に、検出器の底部に設置した1/2インチPMTの信号を用いて、検出器外部上面からCo-60等の複数種の放射線源によるガンマ線を照射し、コンプトン散乱電子事象の平均角を測定した。その結果、全ての線源において平均角が45度にピークを有していた。更に、Co-60ベータ線源を検出器の首部分に挿入し、0.3mmのAl板を通過させることにより最大エネルギー1.48MeVの電子とガンマ線を入射させて、ベータ・ガンマ事象の平均角を測定している。シミュレーションでは、1.333MeVガンマ線のコンプトン端以上のエネルギーの事象が平均角60度にピークを持つことが予想されている。初期の解析結果では、事象数は少ないものの、平均角が50~70度に事象が集まっており、ベータ・ガンマ事象は電子とは異なる平均角を持つことが見込まれている。従って、当初計画通りの結果が得られることを期待している。
令和3年度が最終年度であるため、記入しない。
すべて 2021 その他
すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (3件) (うち国際学会 1件、 招待講演 2件) 備考 (5件)
Journal of Physics: Conference Series
巻: 2156 ページ: 012116~012116
10.1088/1742-6596/2156/1/012116
BULLETIN OF MIYAGI UNIVERSITY OF EDUCATION
巻: 56 ページ: 205-214
https://iopscience.iop.org/article/10.1088/1742-6596/2156/1/012116
https://mue.repo.nii.ac.jp/?action=pages_view_main&active_action=repository_view_main_item_detail&item_id=1448&item_no=1&page_id=13&block_id=66
http://masamune.miyakyo-u.ac.jp/gakkai/verification-of-Tl-208-background-reduction-for-double-beta-decay-with-10to32-years-measuremnt.pdf
http://masamune.miyakyo-u.ac.jp/gakkai/TAUP2021-fukuda.pdf
http://masamune.miyakyo-u.ac.jp/gakkai/JPS2021-fall-web.pdf