公募研究
本研究である極低放射能における表面アルファ線イメージ分析装置開発に向けて、従来の装置を用いて本研究領域の計画実験のための分析と性能改善のための研究を並行して進めている。本年度前半は、地下実験グループの枠を超えて、スーパーカミオカンデ、ハイバーカミオカンデ、NEWAGE、中性子測定コンソーシアム、PICOLON、AXEL実験などの素材表面のアルファ線イメージ分析を10^[-3] alpha/cm^[2]/hrの精度で実施した。また、本研究のための素材についても同様に分析し、性能改善のための設計を進めた。特にNEWAGEグループと共同に開発している新素材を使ったlowBG μ-PICの表面汚染を分析し、その結果、要求する性能を満たしていることを確認した。本年度後半では、装置性能をどうすれば改善できるかの調査を実施した。冷却活性炭を導入したことによって、内部の放射性ラドンの低減に成功した。飛跡読み出し基板であるμ-PICに乗せているプリント基板からアルファ線の放出を突き止めた。そしてカプトンシートで遮蔽したことで壁際に分布していた雑音信号が明らかに削減したことを確認した。さらに、静電場フィールドケージを新たに設計した。この仕様は高さを従来の半分にして、試料からのアルファ線測定に特化している。活性炭によって取りきれなかった放射性ラドンのアルファ線がいたとしても、さらに半分雑音を落とせる仕様だ。そして電子がドリフトする長さを短くすることで位置分解能を向上する狙いもある。本年度はフィールドケージの設計と製作は完了しており、次年度に実装と性能評価に移る予定だ。
2: おおむね順調に進展している
開発スケジュールと比べて、進んでいる項目と若干遅れている項目があるため。地下実験グループの枠を超えて分析を実施、及び本研究で使用するための新素材の分析は順調である。さらに本装置の改善すべき箇所は調査を終え、実際に改良のために試行錯誤を開始している。慎重にフィールドケージを設計したことで予定より遅れたが、作成を終えたのでTPCとして実装できる段階まで来ている。
(1) アルファ線イメージ分析装置のTPC容器と真空SUS容器が製作完了した。これらを実装して、新システムとして装置を再構築する予定である。 (2) 改善された装置の性能試験を実施する。その後、安定運用に向けた調整を行う。 (3) 試料表面あたりの感度向上を図るため、有効面積拡張のための研究を実施する。(4) 「地下宇宙」の枠組みで各グループの試料分析を実施し、本研究領域内の各計画班にフィードバックする。 (5) 飛跡再構成アルゴリズム及びデータ収集回路を改良し、検出効率を向上する。 (6) 位置分解能をより改善するために、適切なガスの状態を定める。1~3は順を追って実施し、その後、4~6は並行に研究を進める予定である。
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すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (2件) 備考 (1件)
Progress of Theoretical and Experimental Physics
巻: ptab020 ページ: 1-11
10.1093/ptep/ptab020
http://www-ppl.s.chiba-u.jp/~hiroshi/study_aicham.html