当該年度は、ビーム試験会場に持ち運ぶことのできる、可搬型の高圧キセノンガス検出器開発を行い、ビーム試験を実施した。昨年度までに購入を進めてきたMPPC、PMT、専用回路、その他構成パーツを全て揃え、くみ上げた。完成後はガスシステムの備わっている京都大学にて動作確認を実施し、検出器として動作することを確認した。当該年度中に、中性子標準場を提供する産総研の中性子ビーム照射施設に搬入し、実際に中性子ビームを照射し、土台の強度や容器から発生するガンマ線を確認することができた。キセノンガスを封入しての中性子ビーム試験は、コロナの影響で次年度に持ち越しとなった。これについては、4月上旬に無事ビーム試験を実施することができ、原子核反跳を含めた非常に貴重なデータを取得することができた。現在は解析を進めているところである。また、現場で発見できた改善点としては、カソード8kVを過ぎたあたりで放電が始まった点や、PMTの波形読み出しの信号のdelayが想定よりも長かったことなど、細かな改善ポイントが存在することが分かった。
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