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2020 年度 実績報告書

現実的な3次元超新星モデルに基づく超新星背景ニュートリノ解析

公募研究

研究領域地下から解き明かす宇宙の歴史と物質の進化
研究課題/領域番号 20H05255
研究機関福岡大学

研究代表者

中村 航  福岡大学, 理学部, 助教 (60533544)

研究期間 (年度) 2020-04-01 – 2022-03-31
キーワード超新星 / 数値シミュレーション / ニュートリノ
研究実績の概要

超新星ニュートリノの精密な数値モデルを構築するために、以前の超新星の系統的研究(K. Nakamura, T. Takiwaki, T. Kuroda & K. Kotake (2015) PASJ, 67, 107)で用いたコードを大幅にアップデートした。ニュートン的であった重力に一般相対論的効果(A. Marek, H. Dimmelmeier, H-T. Janka, E. Mueller, R. Buras, (2006) ApJ, 445, 273)を近似的に取り入れた。さらにミュー型およびタウ型ニュートリノにもIDSAと呼ばれる先進的近似法を適用し、電子型と同じレベルでエネルギースペクトルの情報を得られるように改良した。ニュートリノ反応率も最新のもの(K. Kotake, T. Takiwaki, T. Fischer, K. Nakamura, G. Martinez-Pinedo (2018), ApJ, 853, 170)を採用した。SN 1987Aに対応する連星進化親星モデル(T. Urushibata, K. Takahashi, H. Umeda, T. Yoshida (2018) MNRAS 473, L101)を初期条件として空間3次元の計算結果を1次元の結果と比較したところ、ニュートリノ光度と平均エネルギーに差異が見られた。衝撃波の復活によって電子型および反電子型ニュートリノ光度が減少した。一方、原始中性子星内部の対流によってニュートリノ球半径が膨張することにより平均エネルギーは全てのフレーバーで減少した。さらにミュー型およびタウ型ニュートリノの光度は増加することを発見した。これも同様の理由であると考えている。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

数値コードの改良によって計算コストが当初の見積もりを超えて増大し、それにより計画していたモデル数を消化できなかった。主な原因は最新のニュートリノ反応率(K. Kotake, T. Takiwaki, T. Fischer, K. Nakamura, G. Martinez-Pinedo (2018), ApJ, 853, 170)を採用したことで、その中でも特にニュートリノ間散乱とニュートリノペア反応の反応率の計算量が大きかった。ニュートリノ間散乱はニュートリノ光度等には大きく影響しないが、ペア反応はミュー型およびタウ型ニュートリノの光度に影響する。本研究の主目的である精密な超新星ニュートリノモデルの構築には欠かすことができないため、当初の計画よりモデル数を減らさざるを得なくなった。

今後の研究の推進方策

実際に超新星ニュートリノが観測された唯一の例であるSN 1987Aモデルの計算によって、観測と矛盾ない結果を得た。引き続き重力崩壊型超新星の数値シミュレーションを継続し、残りの1年間で可能な限り幅広い初期質量域を網羅する3次元超新星モデルを構築する。並行して中性子星冷却期のニュートリノ光度とエネルギーの時間発展を調べるためのコード開発を進める。ニュートリノ輸送解法をIDSA法からより簡易なleakageスキームに変更し計算量を削減し、各モデルの計算時間をさらに10秒間延長して中性子星冷却期のニュートリノ光度とエネルギーの時間発展を調べ、背景ニュートリノシグナルの予測に必要な長時間ニュートリノデータを得る。

  • 研究成果

    (5件)

すべて 2021 2020

すべて 学会発表 (5件)

  • [学会発表] 現実的な3次元超新星モデルに向けて2021

    • 著者名/発表者名
      中村航
    • 学会等名
      第7回超新星ニュートリノ研究会
  • [学会発表] 大質量星の重力崩壊前後を追う一貫した数値シミュレーション2021

    • 著者名/発表者名
      中村航
    • 学会等名
      CfCAユーザーズミーティング
  • [学会発表] 超新星親星の非球対称構造が衝撃波に及ぼす影響2021

    • 著者名/発表者名
      中村航
    • 学会等名
      日本天文学会2021年春季年会
  • [学会発表] 現実的な3次元超新星モデルに基づく超新星背景ニュートリノ解析2020

    • 著者名/発表者名
      中村航
    • 学会等名
      地下宇宙領域研究会
  • [学会発表] 大質量星の非対称構造を考慮した重力崩壊計算2020

    • 著者名/発表者名
      中村航
    • 学会等名
      第33回理論懇シンポジウム

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公開日: 2021-12-27  

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