研究領域 | 地下から解き明かす宇宙の歴史と物質の進化 |
研究課題/領域番号 |
20H05256
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研究機関 | 国立天文台 |
研究代表者 |
鷲見 貴生 国立天文台, 重力波プロジェクト, 特別客員研究員 (30822283)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 地下 / 落雷 / 地下水 / 重力波 / 環境雑音 / 極低バックグラウンド / 環境中性子 |
研究実績の概要 |
落雷測定では、従来は時刻情報のみが記録されていた落雷検知器に対し市販のデータロガーを用いることで波形データをバイナリファイルとして記録できるようになった。また、このバイナリファイルを読み込み、重力波データと同様のファイル形式(gwf.lalframe)に変換するpythonスクリプトを開発し、重力波データと同じ手法で解析する環境を確立した。これにより、地上で観測される落雷磁場データの周波数スペクトルが文献値と同様に確かに5kHz付近にピークを持つ構造をしていることが確認できた。こうして得られた地上の落雷磁場信号データ(VLF帯)を、地下の磁場データ(ULF帯/ELF帯)やKAGRAの干渉計信号と合わせてまとめた論文を執筆し、現在ジャーナルに投稿中である。 また、地上でのULF帯の落雷磁場信号を測定し地下データと比較するため、DCから10kHzに感度のある磁気インピーダンス素子(MI)センサーを設置し、落雷検知器をトリガーとする同時測定を開始した。 地下水観測では、市販のポータブル水流計を購入しKAGRAトンネル排水路の各点における流量調査を行った。この情報は、特に重力波観測への影響が大きいと思われる箇所への常設水流計の設置(別予算による)に活用した。 さらに新学術領域内の共同研究に向け、小型のCsI(Tl)シンチレーターのガンマ線検出器を用い、神岡地上とKAGRAトンネル内のそれぞれの場所における環境ガンマ線量の測定も行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
落雷磁場観測、地下水排水量観測ともに安定運用を開始することができたため。
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今後の研究の推進方策 |
現在の測定では、地上のELF帯磁場の信号雑音比が悪く、地中電気伝導度評価の解析が困難であるため、MIセンサーに対して適切なプリアンプを実装することでこれを解決し電気伝導度評価を実現する。また、新学術領域D01 班との共同研究として、神岡地下の様々な場所での環境放射線および水流測定を行う。さらに、神岡地上にて雷雲起因のγ線観測も行い、VLF/ELF磁場との相関を調査する。
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