本公募研究では、酸化物準結晶であるBa-Ti-O系ハイパーマテリアル超薄膜の創製方法を確立するとともに、低速電子回折、オージェ電子分光、X線高電子分光、走査型トンネル顕微鏡、ラザフォード後方散乱分光からなる複合解析により組成と原子密度を解明することができた。さらに、Pt(111)表面上にBa-O系超薄膜を種々の組成で作製し、そこへチタンを蒸着することで、広い組成範囲にわたり準結晶及び近似結晶の形成のしやすさやこれまでに発見されていない相の有無について系統的に調べた。これらの複合的な実験結果をもとに、Ba-Ti-O系ハイパーマテリアル超薄膜の構造モデルを提案することができた。 酸化物ハイパーマテリアルに関する学術論文を2報発表するとともに、学会発表、国際会議発表、書籍の分担執筆をした。コロナ禍ではあったが、東京理科大学田村研究室のポスドクを外部研究者として6週間受け入れ、金属間化合物準結晶表面の原子スケールSTM観察に関する共同研究も順調に開始することができた。 さらに、酸化物ハイパーマテリアルの機能開拓に向けて、希土類酸化物ハイパーマテリアルの創製研究に取り組んできた。具体的には、Ce-Ti-O系ハイパーマテリアルの創成研究に取り組み、近似結晶相の創成に成功した。
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