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2020 年度 実績報告書

ブロック共重合体の球状ミクロ相分離構造における準結晶および近似結晶の発現機構

公募研究

研究領域ハイパーマテリアル:補空間が創る新物質科学
研究課題/領域番号 20H05269
研究機関名古屋工業大学

研究代表者

山本 勝宏  名古屋工業大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (30314082)

研究期間 (年度) 2020-04-01 – 2022-03-31
キーワード準結晶 / ブロック共重合体 / ミクロ相分離構造 / 球状ドメイン / 小角散乱
研究実績の概要

我々が発見してきたブロック共重合体のミクロ相分離構造のσ相および準結晶に加え、既報のブロック共重合体に発見された系に倣い、未発見のブロック共重合体の系を新たに合成し、それらの系で準結晶およびその近似結晶の発現があるか調べてきた。具体的にポリスチレン(PS)とポリアクリル酸メチル(PMA)からなるブロック共重合体を原子移動ラジカル重合による精密重合法で合成し、PSの体積分率として50%と18%の2種類のブロック共重合体を準備した。これらをある割合(体積分率50%試料の方を20-30重量%程度の混合比)で混合することによりフィルムを作成した。その試料を少なくとも4日間180℃で真空熱処理することでσ相(準結晶の近似結晶)およびA15相の形成を確認した。それらをもとに、より短時間(数時間から2日間)の熱処理を施すことで、12回対称準結晶(DDQC)形成を発見することができた。ただしDDQCは熱力学的平衡構造ではなく、σ結晶を形成するまでの過渡的な構造として発現していると思われる。こられの研究成果の一部を学術論文にまとめ報告した。このような複雑な球状ドメインの配列様式を発現するには、球状ドメインの形状に原因があるとされている。通常は球状ドメインの形状が完全な球形であるとすると体心立方格子を組む傾向にあるが、σ結晶は球状ドメインの形状がいびつな形をしていることを仮定する必要がある。現在、散乱パターンからその形状の再現を試みている。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

我々が発見してきたブロック共重合体のミクロ相分離構造のσ相および準結晶に加え、既報のブロック共重合体に発見された系に倣い、新しく未発見のブロック共重合体の系で準結晶およびその近似結晶の発現があるか調べた。具体的にポリスチレン(PS)とポリアクリル酸メチル(PMA)からなるブロック共重合体を合成し、PSの体積分率として50%と18%の2種類のブロック共重合体をある割合で混合することによりフィルムを作成した。その試料を少なく都の4日間180℃で真空熱処理することでσ結晶形成を確認できた。また2日間程度の熱処理で12回対称準結晶が過渡的構造として形成することも確認できた。これら一連の発見により当初予定していたとおり、様々な高分子ブロック共重合体系において準結晶が発現するという普遍性を示すことができた。論文も一方報告し順調に進行している。

今後の研究の推進方策

球状ミクロ相分離構造は通常体心立方格子(BCC)の単位格子を有する構造に配列する。これは、ブロック共重合体球状ミクロドメインのコロナ鎖の存在により、主成分となる空間を密度を均一に保つため、コロナ鎖のコンフォメーションエントロピー減少を最小化にするためBCC構造となる必要がある。一方、球状ドメインがBCC以外の構造を組むためには、球状ドメインの形状を球状から楕円形などになることでコロナ鎖のエントロピー減少を抑制させることが可能となると予想されている。球状ドメイン内のコンフォメーションも同時に考える必要があるのでそのバランスで決まる。球状ドメインの形状に不均一性がσ相や準結晶形成に関与している可能性があるので、その実験的証拠を見出すことに本年度は重点を置く。散乱パターンからの解析と透過型電子顕微鏡による直接観察の遂行する。

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2021 2020 その他

すべて 雑誌論文 (1件) 学会発表 (1件) 備考 (1件)

  • [雑誌論文] Frank-Kasper σ and A-15 Phases Formed in Symmetry and Asymmetry Block Copolymer Blend System2021

    • 著者名/発表者名
      Yamamoto Katsuhiro、Takagi Hideaki
    • 雑誌名

      MATERIALS TRANSACTIONS

      巻: 62 ページ: 325~328

    • DOI

      10.2320/matertrans.MT-MB2020002

  • [学会発表] ブロック共重合体が形成する球状ミクロドメインの新規配列様式2020

    • 著者名/発表者名
      山本勝宏
    • 学会等名
      第31回 エラストマー討論会
  • [備考] ハイパーマテリアル

    • URL

      https://www.rs.tus.ac.jp/hypermaterials/

URL: 

公開日: 2021-12-27  

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