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2020 年度 実績報告書

イオンの自由度を制御する金属ナノ構造複合系の創出

公募研究

研究領域蓄電固体デバイスの創成に向けた界面イオンダイナミクスの科学
研究課題/領域番号 20H05281
研究機関北海道大学

研究代表者

福島 知宏  北海道大学, 理学研究院, 助教 (50801560)

研究期間 (年度) 2020-04-01 – 2022-03-31
キーワードプロトン伝導 / プラズモン共鳴 / ナノ構造
研究実績の概要

電極ー電解質界面でのイオンの挙動の理解は蓄電固体材料の機能開発において重要である。特にイオン伝導体の自由度(活量、拡散係数、活性化機構など)は電気化学系の制御指針となる基本的な物理量であるが、それらの精密な制御は難しい。本研究課題においてはプラズモン活性な金属ナノ構造界面での電子およびイオンの電気化学ポテンシャルの精密制御に基づき、プラズモン場の効果および表面効果を利用することにより基礎原理を確立することを目的と据えている。
本年度はモデル構造としてイオン伝導体・金属ナノ構造複合体の二次元基板を構築し、光電気化学計測を行った。テンプレート法によりガラス基板上に二次元金属ナノ構造を作成し、イオン伝導体であるNafionをスピンコート、ドロップキャスト法により厚みの異なる基板を作成した。電気化学交流インピーダンス法により加湿下での電気化学計測を行い、光応答性に関してはLED光源を利用することにより、波長選択性に関して検討を行った。
LED光照射下においては、金属ナノ構造がない場合あるいはNafionの厚みが厚い場合においては光応答が観測されなかった。それに対して金属ナノ構造を有する構造においては光照射条件下において照射光強度に応じたイオン伝導度の減少が確認された。さらに光応答速度に関しても検討を行ったところ、10秒程度で飽和するようなイオン伝導挙動が観測された。これらの応答性に関しては過去の分子系などに対して、十分に光強度が弱くても観測されうる現象であることが明らかとなった。さらにはLED光の波長条件を精密に変化させ、その光応答挙動に関して観測したところ、興味深いことにプラズモン共鳴に応じたアクションスペクトルが観測された。これらの事実はプラズモン共鳴がイオン伝導度に影響を与えることが可能であるということ、さらには光イオン伝導が達成可能であることを明確に示す結果となっている。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

新型コロナウイルス蔓延の関連にて、研究活動が停止した時期、また物品納入ができなかった時期もあり、研究活動に支障が生じた。また領域会議の開催や共同研究活動においても国内での出張が一部制限された時期があり、研究活動に遅れが生じた。

今後の研究の推進方策

金属ナノ構造表面にの表面効果に関して特に検討をすすめる。現在表面が負に帯電しているAuナノ構造を用いているためにカチオンの伝導度が下がっているということが考えられる。金属ナノ構造の表面は蒸着することにより表面の帯電状態や分子種を変化することが可能である。プラズモン共鳴においては界面での電場勾配や、化学反応、光熱変換などの多様な物理化学現象が生じることが知られており、これらの寄与に関しても表面化学種の変化により、観測現象の体系化を行う。さらには蓄電固体材料において重要となるLiイオンなどにおいても同様に実験を進めることにより、電流導通条件下での検討を行う予定である。またプラズモン活性な金属ナノ構造とは別に共振器を利用した結合系においても検討を行っており、これらに関しても実施していく予定である。

  • 研究成果

    (13件)

すべて 2021 2020

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (12件) (うち招待講演 1件)

  • [雑誌論文] Visualization of molecular trapping at plasmonic metal nanostructure by surface-enhanced Raman scattering imaging2020

    • 著者名/発表者名
      Fukushima Tomohiro、Miyauchi Akira、Oyamada Nobuaki、Minamimoto Hiro、Motegi Toshinori、Murakoshi Kei
    • 雑誌名

      Journal of Nanophotonics

      巻: 14 ページ: 1~1

    • DOI

      10.1117/1.JNP.14.026001

    • 査読あり
  • [学会発表] カーボン電極特性の分子制御2021

    • 著者名/発表者名
      福島知宏
    • 学会等名
      第10回フラーレン・ナノチューブ・グラフェン学会若手研究会
    • 招待講演
  • [学会発表] Nafion/金属ナノ構造におけるイオン伝導度の光変調2021

    • 著者名/発表者名
      福島知宏、崔元碩、村越敬
    • 学会等名
      2021年 電気化学会第88回大会
  • [学会発表] 光共振器による水分子の振動強結合制御2021

    • 著者名/発表者名
      吉光創之、福島知宏、村越敬
    • 学会等名
      日本化学会第101春季年会
  • [学会発表] 分子修飾グラフェン/Au界面でのプロトン移動の同位体効果2021

    • 著者名/発表者名
      駒井貴羽、福島知宏、村越敬
    • 学会等名
      日本化学会第101春季年会
  • [学会発表] Auナノ構造界面における光応答性プロトン伝導の観測2021

    • 著者名/発表者名
      福島知宏、崔元碩、村越敬
    • 学会等名
      第68回応用物理学会春季学術講演会
  • [学会発表] 光共振器中における水分子の振動構造制御2021

    • 著者名/発表者名
      吉光創之、福島知宏、村越敬
    • 学会等名
      化学系学協会北海道支部2021年冬季研究発表会
  • [学会発表] Molecular Modification of Graphene on Metal Substrate: Electrochemical Defect Insertion for Controlled Proton Permeation2020

    • 著者名/発表者名
      Takaha Komai, Tomohiro Fukushima, Kei Murakoshi
    • 学会等名
      第59回 フラーレン・ナノチューブ・グラフェン 総合シンポジウム
  • [学会発表] Molecular Modification of Graphene on Metal Substrate: Electrochemical Defect Insertion and Evaluation of Surface Defects2020

    • 著者名/発表者名
      Tomohiro Fukushima, Takaha Komai, Kei Murakoshi
    • 学会等名
      第59回 フラーレン・ナノチューブ・グラフェン 総合シンポジウム
  • [学会発表] グラフェンのプロトン透過能制御と変調因子の理論的解明2020

    • 著者名/発表者名
      長谷部秀尭、福島知宏、駒井貴羽、村越敬
    • 学会等名
      分子科学オンライン討論会
  • [学会発表] 局在表面プラズモンによるイオン伝導能制御2020

    • 著者名/発表者名
      崔元碩、福島知宏、村越敬
    • 学会等名
      分子科学オンライン討論会
  • [学会発表] Raman Spectroscopic Investigation of Proton Penetration Properties of Graphene/Au under Electrochemical Potential Control2020

    • 著者名/発表者名
      Tomohiro Fukushima, Takaha Komai, Hidetaka Hasebe, Kei Murakoshi
    • 学会等名
      第81回応用物理学会
  • [学会発表] 金属ナノ構造界面における固体電解質の構造異常2020

    • 著者名/発表者名
      福島知宏、村越敬
    • 学会等名
      ナノ学会 第18回大会

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公開日: 2021-12-27  

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