研究領域 | 蓄電固体デバイスの創成に向けた界面イオンダイナミクスの科学 |
研究課題/領域番号 |
20H05284
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研究機関 | 山形大学 |
研究代表者 |
笠松 秀輔 山形大学, 理学部, 助教 (60639160)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 蓄電固体界面 / 第一原理計算 / レプリカ交換モンテカルロ法 / 統計熱力学 / ニューラルネットワーク |
研究実績の概要 |
本研究では、第一原理計算と統計熱力学サンプリングを組み合わせることで、蓄電固体界面のイオン分布を予測する計算技術を確立することを目指している。イオン配置の組み合わせ爆発に対していかに効率的にサンプリングを行うかが課題である。当初は第一原理計算とレプリカ交換モンテカルロ法を組み合わせて計算することを計画していたが、この方法では十分な数のサンプリングが難しいことが分かってきた。そこで、第一原理計算による構造最適化結果のエネルギーを再現する機械学習モデルを構築し、これを第一原理計算の代わりに使うことで計算の加速を図った。サンプルの一部に対して第一原理計算によるvalidation計算を行い、必要に応じて再学習を行うことで、十分な精度を保証しつつ、約10000倍の加速を実現した。今年度は主に複合酸化物バルクの計算でこれを実証しつつ、蓄電固体界面、具体的には白金/イットリア安定化ジルコニア界面への適用を開始した。10 mol%イットリアドープ系で、界面近傍でバルクに比べて2倍程度の酸素空孔の濃度の増加が見られている。
また、領域の計画研究班と共同で、La(Li)NbO3の分極およびイオン伝導メカニズムの解析を開始した。まずは標準的な第一原理分子動力学法およびnudged elastic band法を行い、Liイオン伝導にかなり明確な異方性があることを確認した。計画研究班の実験で得られている活性化エネルギーとも良い一致を示している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初予定していた手法では十分な場合の数を尽くして計算を行うこと難しいことが分かったが、ニューラルネットワークモデルの援用によってこれを挽回する目途が立った。
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今後の研究の推進方策 |
白金/イットリア安定化ジルコニア界面において、イオンの総数を変えた計算を複数行い、イオン濃度ごとに熱平衡状態の界面イオン分布を予測する。そして、これをもとに、元素種の化学ポテンシャルを考慮した自由エネルギー計算を行うことで、化学ポテンシャルと界面イオン分布、および電極電位を対応づける。これによって、実験と直接比較できる界面イオン分布の計算を実現する。
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